遠い日の約束〜完結〜

□十四章
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扉間はやよいの住み処につき、やよいを見ると、疲れたのか、安心したのか寝ていた。
起こそうか悩んだが、眼の下の隈や傷が酷い上にずぶ濡れだった…もちろん自分も…
とりあえず、家に上がり、自分の服を脱いだ。中は岩の中とは思えないぐらい温かかった。
武具呼び寄せの巻物で服と食べ物や
飲み物を出した。

しかし、問題はやよいをどうするか…
やよいをこのままにすると体を壊すし最悪な事もありうる…

「……仕方ない…」
見なければ大丈夫と緊張しながら、やよいの服を脱がせた。水を含んだ服に格闘したが無事脱がせた。下着も…

全部脱がせた扉間は近くにあったタオルで拭いていった。
終わった頃には、顔や首が真っ赤だった。
持っていた男用の着物を着せ布団やら毛布やらを被せ温かくした。

「…すまないが父上にこれを渡してくれ」
扉間は連絡用の鷹を巻物から呼び寄せ、あす帰ることを書いた手紙を鷹に持たせ飛ばした。

扉間はやよいの髪をタオルで拭いていた。
「…ぅ…」
「!…起きたか?」
「…私の家…」
「すまないが上がらせてもらった。あと……」
「…?」
「…あれだ、濡れてたから…わかるだろ…見てないから安心しろ…」
「…」
「…?」
扉間は不審に思いやよいを見るとこちらを見て笑っていた。
少しほっとした。
「何だよ…」
「だって、さっきと違う人みたい…」
やよいは扉間の手を握ってクスクス笑いながら扉間を見上げた。
扉間は顔を反らし「…ふん」とそっぽ向いた。顔が赤いとからかうと拭いていた髪を少し引っ張った。
「痛いよ」
「だろうな…」
「私やよい…あなたは?」
「扉間…扉間でいい。」
「扉間…今日泊まってくれるかな?」
扉間の手をキュッと握った。
「…」
「雨キツイし…今一人で居たくない…」
お願い

「わかった…」
やよいは嬉しそうに扉間に笑った。
扉間も呆れながらも少しやよいに笑った。

「扉間暖かいね…」
「…」
布団が一つしかないので二人で引っ付いて寝る事になったのだが…
大きめの布団で引っ付く必要がないのに、やよいは扉間に引っ付いていた。初めて人と寝る暖かさに安心したのか睡魔が一気に襲ってきた。
「あまり引っ付くな!!」
「…」スースー…
やよいは扉間に抱きつきながら寝ていった…
扉間はやよいの体を離そうと試みたが、やよいが引っ付いて離れないので諦めた…
やよいをみる。
赤に近い茶髪に綺麗な緑の瞳…
やよいの傷を確かめようにも、傷は全てなくなっていた。
「…無意識で治したのか、体が反応したのか…」
扉間はやよいの頭を撫でる。
弟達にもよくしてたな…
やよいを見つめ続けて妹のように感じた。

兄者の後を追いマダラがいた。そこにはやよいも…
やよいが敵か探る為に後を追ったが、森の奥深くに一人で住んでいるみたいだったから驚いた。
女が一人で森の中に暮らすなんて危険極まりない。
しかし、よくみるとこの場所は綺麗で、危険な事など一切なく平和な感じがした。やよいを守ってるかのように…
父にも伝え、マダラはうちはだとわかった。やよいの事も父から聞いた。兄者とマダラが決別したあと、やよいの事は二人とも忘れていた。
おそらくうちはも…
「…」
考えに考えた。
そして思った。やよいから何かしら治癒やチャクラを分けてもらった者だけ、あの瞬間記憶がなくなったのではないか…
自分だけ覚えているのに納得できる。

「…や…」
やよいが魘され汗を欠いていた。
タオルで拭いてやる。
「マダラ…柱間」
「…」
扉間は眉間に皺が寄るのを感じた…

やよいの額をさらりと撫でる

「…とび…ら…ま」
「!」
やよいに呼ばれて驚いた。
心が落ち着き、やよいを抱き締めた。
柔らかくて暖かく、扉間も眠りに落ちていった。
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