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□第1話
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『ザバン市行きの船はどこかしら』
とある街の一角、少女、ヒリアは辺りを見渡した。そびえ立つ建物、行き交う人々、森で生活をしてきた彼女にとって、どれも珍しいものであったのだ。
『誰かに聞いてみようかなあ...でもちょっと怖いし。むー。』
頭を抱え考えていると、1人の男が話しかけてきた。
「お困りかい?お嬢さん。話を聞くよ。」
『ありがとうございます!実はとても困っていまして....』
思ってもみなかった申し出に喜ぶヒリア。
「なになに!ここじゃあ何だから、違う場所に行こう」
肩を抱かれ、少々不思議に思いながらもついて行こうとした時、男は勢いよく倒れた。
「何しやがる!」
「オッサン。ムカつくからそういうのやめてくんない?」
男を蹴り飛ばしたであろう銀髪の少年が気だるそうに言う。
「なっなんだよ!!俺は好意で....!!」
「どーせその女を騙して売っ払う気だろ?」
「ぐっ......覚えてろ!」
少年の言葉は人々の注目を集め、分が悪いと感じた男は走り去っていった。