ANOTHER QUEST
□第一章:獣人世界と弱気な主人公
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「う……」
あれ?僕はいつの間に気を失って……。
「ここ……どこ?」
気が付いた場所はトンネルの中じゃなくて森の中だった。
たしか……暗いトンネルに入って、しばらくしたら森の香りがして眩しい光が……全然わからない。
「僕……どうなるの……?」
家に帰りたい……。
ガサッ
何……?今草村からガサッて……。
「だ……誰……?」
何か出てきた……ウサギ?でも角が生えてる……。でも可愛いなぁ。
「おいで……い!?」
噛まれた……手を出したら噛まれた!?なに……唸ってる……怖い……。
「ふせて!」
え?誰かが叫んで……
「げふ」
だ……誰かに頭踏まれた……ダメだ……意識が……
僕は意識を手放した。
「う……ん」
あれ……?ここはどこだろ?たしか、角が生えたウサギに噛まれて……そしたら誰かに頭を踏まれたような……。
ここは……家?
「だいたいさぁ……助けるはずの人の頭を踏みつけて敵を倒す?普通……」
「いいじゃないか……あそこでさらに怪我するよりマシだろ?」
「結果的に気絶したじゃん……」
なんか口喧嘩が聞こえる。下から?
階段を降りて一階を見てみた。そこには、僕とは違う異型がいた。
「ん?あ、気がついたみたいだよ」
「よ、踏みつけて悪かったな」
「う……わああぁぁぁぁぁ!?」
叫び声を上げながら二階の目覚めた布団に潜り込んだ。
な……なにあれ!?狐と犬っぽかったけど人間と似た体型をしていた……あのウサギの仲間!?僕、食べられちゃうの!?
「こらこら、助けてやったのになんだ、その態度は」
布団取られた……。
「いや、あれは助けたとは言わないと思うけど……」
「へ……?助け……?」
助けたってどういう……?
「俺が角ウサギに襲われてるお前を助けたんだよ」
「そうなの……?ありがとう……でも……あなた達……」
人間じゃないのに喋ってるし二本足で立ってる……。
「ああ……驚くのも無理はないか。ここは獣人とモンスターが住む世界。人間は一人もいないんだ」
え?人間が一人もいない?どういうこと?
「まー、宇宙には人間が本当にいたんだな」
「書物だけの話かと思ったけどね」
笑ってる……笑ってるよ!?人間がそんなに面白いのかな?
「なぁ、どうやってこの世界に来たのか教えてくれないか?」
教えてくれって言われても……。
「えっと……僕はいじめられてて……それて、トンネルで肝試しみたいのをやらされて……そしたら強い光が現れて……目が覚めたら森にいて……」
「なるほどねぇ。その光のせいでこの世界に転送しちまったのか」
え……それじゃ、僕帰れないの?
「なら……さ」
「そだね、俺達が元の世界に帰るの手伝ってあげるよ」