書庫
□黄金の自由戦記
1ページ/2ページ
*黄金主視点
「オイオイ、にーちゃん。こんな夜中に誰の許可を得て此処をウロついてやがる?」
『…生憎誰の許可も得てないな』
あ〜…。何てことだ、絡まれた。やっぱり表通りを行くべきだった。近道しよーとか思った数分前の俺マジクソ。
「此処はオレ等のナワバリだぜ?そんな我が物顔で歩いてんじゃねぇ」
ナワバリって…良い歳して海賊ごっこか?…若いなぁ、気持ちが。あくまで気持ちが、ね。見た目はおっさんだもん。ヤンチャそうなおっさん。暗くて良くは見えないけど。まぁでも童心を忘れないって大事だと思うよ。うん。でも、それでこんな幼気な青年に絡んじゃダメでしょ。え?幼気じゃない?なんだよ、唯の言葉の綾だよ。気にしたら負けだよ?
「おい、だんまりか?それとも怖くて声も出ねぇか?可哀想になぁ?大丈夫だ。有り金全部出して土下座で詫びりゃあ、見逃してやらなくもねぇぜ?」
有り金って…。ポケットの中身を掴んで引き抜いて、ゆっくり掌を開けば…
『32ベリー…』
やっべー。俺の全財産32ベリー。これじゃ宿どころか飯も食えねぇじゃん。犬のエサも買えん。…困ったな。
「オイオイ、そいつァちょっと舐めてんじゃねぇのか?それぽっちの金じゃ犬の餌も買えねぇだろうが」
ごもっとも。今正に俺もそう思ってた。それにさ…
『犬の餌って意外と高いんだよな…』
「ああ、そうさ!下手すりゃオレ等人間様よりも良いモン食ってる様なお犬様だって居る……ってんなハナシをしてんじゃねぇんだよっ!!」
いや、お前が勝手にノって来たんだろう。俺の所為にしないでくれ。
つーかさ…
『もういい?そろそろ帰りたいんだけど』
まぁ、金無し行く宛て無し帰る場所無しな俺なので 帰りたい は唯の言い訳。だってダルいじゃん…。あ、雲晴れてきたよ。こんばんはお月さん。よく見えなかったヤンチャそうなおっさん達はやっぱりヤンチャなおっさんだったな。目付き悪ぅ〜。ダルぅ〜。
「っ⁉」
『?』
…何事?なんか急に空気が張り詰め出したんだけど。どうしたよ?ギックリ腰デスカ?あれ痛いって聞くよ。お大事に。治ること祈ってあげるから帰らせてね。あ、でもその前に…
『なぁ』
「う、うわぁぁぁあ‼‼」
ちょっとお金貸してくんない?って言いたかったんだけど、ものっそい叫び声あげて走り去って行きよった。なんだったんだ、あのおっさん達は。
はぁ、金無い。どっかに100万ベリー落ちてないかなぁ…。
end...
.