書庫

□エンディングまで駆け足で
1ページ/1ページ






そう、例えば。もしも、の話。


未来を知っていて、その未来は悲しく辛いもので、だけどそれを回避する力が自分にあったとしたら…


人は一体どうするでしょうか?









『そりやぁ、回避するよね。もち』

「こんな時に何の話だッ⁉…逃げろッ‼く、喰われるぞッ‼」






【鬼滅の刃】アニメが放送され爆発的な人気を呼んだ大正ファンタジー漫画。主人公、竈門炭治郎が理不尽に打ちのめされながらも強く生き戦い抜く、という感動的なストーリー。





「なんで異形の鬼が居るんだよォォ⁉こ、殺されるゥゥ‼」

『だったら叫んで無いでさっさと逃げろや』




ハイッどうも〜‼現在地藤襲山最終選別地でっす‼‼何がどうなってるか説明しようか⁉簡単だよ‼簡単過ぎる‼死んだら【鬼滅の刃】の世界で転生しちゃった的な⁉





…一旦落ち着くね?





あのね?俺も【鬼滅の刃】読んだのよ。良いお話でした。素晴らしかった。何様だよと言われても素晴らしかった意外に語れば長くなってしまうから、今はこの一言に感想を込めてみました。


でもな?やっぱりこうボコボコ人が死んでく物語ってのは心臓を抉られる様な気持ちになる訳よ。何度泣いた事か。じゃあ読むなとか言うなよ?元も子も無くなるから。話が脱線してしまった。


つまりだな?俺はみんなに幸せになって欲しいのよ。正直さ色々と無理な事も勿論あるんだわ。例えば原作が始まる前の出来事とか。何時何処で何が起こってたのか明確な情報が無ければどうしようもないから。情報収集だって限界がある。


じゃあ、どうするか?確実な情報の元、確実に事を終わらせる。それが確実で最善であると俺は考えた。


本当は冨岡義勇の姉とか、不死川家族とか、そう言う所まで救えたら良かったのかもしれないけど。前世の情報が不鮮明過ぎて打つ手無し状態。だから確実な部分で食らい付いて行くしか無いと判断したのである。






だから俺はここにいる。







もう一度言おう。ここは藤襲山最終選別地。取り敢えず手鬼を滅殺に来ました。


あ、そうそう。言い忘れたんだけど、俺ってばどうやら中々に戦いの才能があったみたいでな?前世で剣道やってたお陰かな?でもね?本当はね?お前才能無いって言われ続けて来たの。辞めるなら早い方が良いって。でも俺は辞めなかった。それはただ単純に剣道が好きだからだ…と思っていました、ええ、はい。でもどうやらそうでは無かったと転生後に気付いた。俺が好きだったのは剣道じゃなかった。俺が好きだったのはー






極限の緊張感と、殺るか殺られるかの高揚感。







多分その感覚を感じられるなら何でも良かったんだと思う。最初に手を付けたのが偶々剣道だったと言うだけで。


そして才能が無いと言われた俺の敗因となってたのは殆どが反則負けだった。でも反則しないってのはどうしても難しかった。だって本当の殺し合いならルールなんて有って無い様なもんじゃん?って言ったら道場を追い出されそうになったからそれ以来口にするのを辞めた。でもそれ以来師範は俺を邪険にする様になって気味悪い物でも見るような目で俺の事を見る様になった。多分俺は前世で生きてた時から元々頭がイカれ気味だったんだろう。自分が周りと違う自覚が無い訳じゃ無かったし。




だが、しかしだ!





そんなイカれた俺に転機が訪れた!それがこの転生だ!殺し合いに対して歓喜に近い感覚を持って生まれてしまった俺へのギフト!


なーんて喜んだのも束の間。


そう言えばこのマンガって登場人物ボコボコ死んでくんだよなぁ、あれ凄い辛かったなぁ、と思ってしまえば最後!バッドエンド回避を考えずにはいられないんですけどッ‼いや、そりゃあバッドエンドと言うか言わないかは人それぞれなのかもだけど!少なくとも!俺は!出来るだけみんなに生きて欲しい!そう思った訳よ!

俺は分別ある男。己の人として少々イカれた欲よりも、出来るだけみんな幸せハッピーエンドが望まれる結末である可き。だから俺なりの答えを導いた。題して!


さっさとエンディング大作戦!


要はラスボスである鬼舞辻無惨を倒す、以上。そうすりゃ全ての鬼が消える。うん、分かりやすい。


別に俺は快楽殺人鬼とかじゃないしね!強そうな人と木刀で戦うだけでも似たような感覚は味わえるのでヨシとします!


そう!だから!今俺はここにいるのです!


俺がまずやるべきは手鬼を滅殺する事。でないと錆兎や真菰が死んでしまう。だから!




『俺はお前を滅殺する為に来た!なんの因果もあったもんじゃなくて悪いね!』

「なんだァ?お前ぇ、俺を知ってる?鱗滝の所の子供かぁ?でも面がねぇなぁ?」




よくもまぁニタニタ笑うしよく喋んなぁ!口元隠れてて笑ってんのかよく分からんけどな!なんか嘲笑ってる様な雰囲気を感知!そうやって因縁深くこの地で、鱗滝さんの弟子を食う事に喜びを感じていたんだろう。そう、因縁深く。




『ポッと出の俺がその因縁にケチ付けてホント申し訳無いね!ホントはもっと優しい刃と心でその因縁が終わりに導かれる筈だった!』




錆兎と真菰が炭治郎の修行を手伝って勝利に導いた?もう死でいたのに?それでも尚?


それはそれはとても感動的な話じゃないか!だけども!その感動的なストーリーの裏に一体どれだけの鱗滝さんの悲しみがあると思ってるんだ!育てても育ててもお前が殺すから!あの人は何度も置いてかれたんだぞ!自分よりもずっとずっと幼い命に!




「お前何言ってるんだぁ?まぁ良い、お前も殺して食ってやるよォ!」




つーか鱗滝さんも鱗滝さんよ!もう大人しく剣士なんて育てずに静かに隠居でもしてりゃ良いのにさぁ!そしたらそんなに悲しまずに済むじゃん、そんなの分かる事じゃん!…それでも剣士育てんだから、ホント他人の気持ちなんて理解に苦しむわ。


まぁそこにも因縁か何かがあるだろう!鱗滝さんなりの覚悟があるんだろう!俺には全く理解出来んけどな!だからー



取り敢えず勝手にさせて貰う方向で話進めますね?



感動的なストーリーに悲しみが付き物なら、俺はその感動ごと否定しようじゃないか!それで誰かの死が回避出来て、誰かが悲しまずに済むなら!鬼滅ファンには怒られるな、炎上覚悟。




シャンッー





「……あ、…な、なんだ?…なんで?おれ、の頸が…斬られた?…硬くて…誰の刃も、と…通らなかった…の、に…」


『なんの物語も感動も無くて悪ィね』





ボトリと鈍い音をたてて地に落ちたのは手鬼の頸で、その直ぐ近くには崩れ出す鬼の体がある。せめて最後は炭治郎みたいにその手を握ろうじゃないか。お前が人間だった頃、手を繋いで欲しがっていたのを俺は知ってるから。炭治郎ほど優しい心を持ってる俺では無いけど。せめてもの気休めになってくれれば良いと思う。そもそも俺が鬼に対して持つ感覚は"登場人物達を苦しめる存在"と言う漠然としたものだ。俺自身は身内を鬼に殺されたりしてない。実害を被って無いんだよね、今んところは、まだ。だからなのか、そこまでの憎しみが込み上げては来ない。これからの事はまだどうにか出来る可能性だってあるし、言ってしまえば鬼だって登場人物の一角だしな。


それに俺からすれば登場人物に愛着はあるけど、登場人物側は俺の存在など知りもしない訳で。友人でも無ければ知り合いでも無い。全て俺が勝手にやってるだけ。預かり知らぬ場所での暗躍だ、感謝される事だって無い。なんなら出会う事さえ無い可能性だってある。


それでも態々こんなとこにまで足を運んだのは、やっぱり悲しみを減らせるなら、と思うからで。もしその全貌を知る誰かが居たら俺の事を優しいと言ってくれるかもしれないけど、それは錯覚だろう。俺は優しい訳じゃない。ただー





耐えられないッ‼‼





感受性が強いと言われ生きてきた俺を舐めないで欲しい!全く知らん人間の葬式に紛れて参加しても泣ける男、それが俺!一瞬で貰い泣きするの。


それは優しいんじゃなくて、周りに感化されてるだけ。流されてるだけ。でも悲しいものは悲しいし、辛いものは辛い。だから!



自己満足で良いから悲しみ回避!
誰かの為じゃなくて俺の為!




『よっしゃ!やる事やったし下山下山!』

「お、おい!アンタ下山はまだ早い!あと一日生き残るのが鬼殺隊入隊の条件だろ⁉」

『ああ!いーのいーの!俺別に鬼殺隊に入りたくて来てないから!さっきの手の鬼をどうにかしに紛れ込んだだけだから!そんじゃーな!無事鬼殺隊に入れると良いな!おっつー!お先ー!」

「な…、は⁉どう言う事だよ⁉って帰んの早ッ‼いねぇ‼」





そうして俺は意気揚々と下山しましたとさ!

めでたしめでたし、で続かないお☆殴










あとがき

この最終選別は錆兎や義勇の受けるのより数年前の物。これにより錆兎、真菰の生存ルート確立。

本当は錆兎と共闘で錆兎に手鬼を倒させる事も考えたが、錆兎と義勇がいつ来るか分から無かったし、探るのも面倒だったし、そこまで拘りがある訳でも無かったので、さっくり自分で排除。

鬼殺隊に入るかはまだ迷い中。でも最終選別での話は親方様に行くだろうから、この後の身の振りは恐らく親方様次第だなと思ってる。特に接触してくる様な事が無ければ取り敢えず無惨探しする。

年は錆兎義勇より三つ程上。

全く伝わってないかもしれないが、この夢主クッソ強い。この時既に一体一なら上弦の鬼と張り合えるくらい。でも無惨と正面から戦ったらちょっと勝てないかも。でもこの時夢主は多分勝てる、とか思ってる自意識過剰マン。

"呼吸"自体はなんとなくの感覚で使用。周りの人等が使ってる呼吸と全く同じかはちょっと怪しい。でも、大体同じ事出来るので特に問題無し。呼吸の型については我流になる為該当無し。

夢主の持ってる日輪刀は鬼との戦いに敗れた鬼殺隊員のを見付けてパクってきた物。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ