Present

□モモテツ
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【 モモテツ 】


久しぶりに高校の悪友たちと集まった。
そこには遅れてやってきた
徹平ちゃんもいた。

本来なら売れっ子の
咲ちゃんのスケジュール上
来れないと思っていたら
どうやら、この集まりを知った
咲ちゃんがラビットの社長に
お願いをして、徹平ちゃんの時間を
作ってくれたらしい。

なんて優しい子。


何年か振りに集まれた面々の近況報告
やら高校時代の思い出に盛り上がり
皆、明日も仕事だというので早々に
お開きとなった。

まだ呑み足りなかったのもあり、
徹平ちゃんと2人でハシゴする。


「……ねぇ…徹平ちゃん」

「なんだ?」

グラスに口をつけながら
チラリとこちらを見る。

「さっきねぇ、近況報告で
言ってないことがあるの」

「なんだ?最近何かあったか?
………結婚でもしたか?」

眉間にシワを寄せて
真剣に考えてるような徹平ちゃんに

「アタシ、女になったの」

サラリと告げると同時に
ブフォッと盛大に飲み物を
噴き出す。

あっ面白れぇ…
こんな徹平なかなか見れねぇな

なんて呑気にながめる

「えっ!?お前、いつ?」
アルコールが器官に入ったのか
咳き込みながら次々に
色々言ってくる姿に
笑いがこみ上げる

「〜〜〜〜嘘!嘘よ!」

笑う俺に

「!!あっエイプリルフールか!」

勘のいいヤツは直ぐに気がつく。
カウンターにこぼした水滴を
自ら拭きながら
ブツブツ文句を言っている。


「いいじゃない!
堂々と嘘をつける日なんだから〜」
ニコニコする俺に
苦虫を潰したような顔で
「まぁな、
女になったお前も魅力的だと思うよ。
世の中の男はメロメロだ」

滅多に言わない軽口をたたいてくる。
少し、酔ってるのかもしれない。

「あら!嬉しい!じゃあ
徹平ちゃんもメロメロね」
と、喜んでみせれば
「エイプリルフールだろ」と呟かれる。

あー可愛げがない。
ここは、もう夢中だ!とか
いうとこなのに相変わらずの堅物!!

そんな軽口を叩き合い。


時刻もてっぺんを過ぎたこともあり
会計を済ませて店をでたところで
徹平ちゃんに腕を絡ませる。

「おい………」
振りほどかれはしなかったが
不満そうな声。

「え〜いいじゃない
ちょっと寒いし、ね?」
と、可愛く言ってみる。
何時もなら、冷たくあしらわれるところ
なのだが、今はそうされない。
やはり、酔っているのだろう。

「あ〜楽しかった!
徹平ちゃんと2人で呑むのも久しぶり
だったし、とってもいい日。
咲ちゃんに感謝ね」
そう言って見た顔は
ものすごく優しい笑顔で
「そうだな」
なんて…

徹平がいかに彼女を大事に想っているか
をみせつけられるような笑顔。
胸の奥がジクリと痛む。

タクシーを捕まえて
先にと促す。

「じゃあ、遠慮なく
また明後日か、よろしくな」

仕事のモードの顔になり
別れようとする。

「うん。
ねぇ、徹平ちゃん。
アタシさ
徹平ちゃんこと愛してんの
徹平ちゃんの全部が欲しい」

そう言うと


「そうだな。俺も愛してるよ。
しかし、お前エイプリルフールは
その日の午前中だけ嘘をついていい
ことになってんだぞ。
いつまでもエイプリルフールを
フル活用すんなよ」

笑いながらタクシー乗り込んで行った。
彼を見送り
くるりと踵を返す


「馬鹿だなぁ徹平…。
もう日付は2日だよ。
ウソをつく日は終わってる」



誰に言うわけでもなく呟き、さっき
組んだ腕の彼の温もりを思い出して
夜の街を歩き出す。









end.
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最初テツ×モモ派だったが
蓬莱さんモモちゃん
完全に男だもんな
なので自然と
モモ×テツに変更(笑)
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