Present

□ヨシナツE
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【 ヨシナツE 】


彼からのメールはいつも一言


−終わりは何時?
とか

−1時間後、何処何処で
とか


とてもシンプルなメール
メンバーでもないし、
先輩後輩でもないし、
ましてや恋人や友人でもない
互いに自分の欲望を満たすのみの
歪んだ関係


あぁ
自分は彼を想っているから
愛あるものだと言えるのだけど……



彼は己の中に溜まった
グルグルした気持ちと
抑えきれない欲を
吐き出すためだけ




そんな相手へのメールは一言で
十分か……








――いつ終わる?


今日も来た一言メール



せっかくの彼からの誘いだけど
只今Waveはドームツアーの真っ最中

大阪での3daysの初日を終え、
ホテルに向かうタクシーの中で
メールを見る

今から今日の反省会
そして
明日は朝からリハだの取材だのが
ビッチリとはいっていて
身動きがとれない


そんなに頻繁に来ることはない
彼からの誘いを断りたくはなかった
けれど、仕事ならばしょうがない


隣りにいる京介に気がつかれないよう
小さく溜息をついて
返信をしようとしたところに
再度メールがきた





――会いたい







自分の目を疑った

彼が俺に会いたいという
今までそんな言葉を聞いたことない


彼の誘いに乗れなかったことも
何回かはある
そんな時は決まって

――了解
と、返ってくる

自分の返信を待たず、彼から
再びメールが入ったのは初めてだ
しかも『会いたい』





『会いたい』
ってどういうことだろうか


俺はいつでも彼に会いたい



彼が俺に用事がある時は
あの人への想いが溢れ
その想いに身動きが取れなくなった時


でもいつもは用件だけの連絡
会いたいなんて言わない


会いたいって………何?


俺に会いたいの?
俺があんたに会いたいみたいに?



「あの人」の代わりじゃなく
「俺」に会いたいの?



そんなはずはないのに
自分に都合のいい考えが
次々に浮かぶ




いろんなことを考えてたら
もうたまらなくなった




彼に会いたい







「……京介……悪い。今から東京に戻る
……明日の朝一で帰ってくるから……」


俺の言葉に
京介がこちらを見る

「突然、何?緊急??」


言いよどんでいる俺に

「女か?義人が珍しいな。
そんなにいい女捕まえたのかよ。
誰? 俺の知ってる子?」

タクシーの運転手には聞こえないよう
ニヤニヤしながら小声で聞いてくる


「そんなんじゃない………」

「あぁ〜これから落とすのね。
わかったわかった、大丈夫。
一磨とマネージャーは俺に任せとけ。
だからキメてこいよ」


そう言って運転手に
行き先変更を告げる京介





駅に着き
「まったっぷり啼かせてこいよ」
京介に背中をバシッと叩かれ
よろけながらタクシーを飛び出した





エスカレーターなんかまどろっこしくて
乗ってられず、階段を駆け上がる




ギリギリ飛び乗った最終の新幹線
座席に
身をしずめ彼に
到着時間とメッセージを送る



――今、会いにいく






――――――――――――――――――
お久しぶりのヨシナツ♡
ブラックよっちゃんからの
離脱を目指します。(笑)
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