Novel

□愛の囁き *
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彼の甘やかな吐息が暗闇に漏れる。

それはヌクヌクと俺の指を受け入れる
ソコが解れてきた印。
詰めていた息がゆっくりと吐かれ、
彼の甘やかな吐息となって漏れる。


「よし、と…、もう…っ」

「もう…? 欲しい?」

「……っ、お前、
ナニ言わそうとしてんだよ…っ」


彼の顔が羞恥に赤く染まる。
そんな彼の顔が俺の大好物だと知らずに
…って、俺の大好物は彼のこうした、
ふとした表情全てで、彼もまさか…
俺がその度に欲情してしまってるなんて
思いもしないだろう。

自分でもどうかと思う。
この執着。この重い想い。

彼と片時も離れたくない。
ずっと繋がっていられたらいいのに。
飛びながら繋がる蜻蛉(トンボ)みたいに

…そんなこと言ったら余計引くかな。


汗ばんだ彼の肌。
俺に齎された快楽にけぶる瞳。

熱を増す視線。

そんなものが
更に
俺を煽る。


こんな劣情、彼以外に感じた事はない。
こんなにも激しく欲した事も。
ずっと繋がっていたい、と思える位に
欲しいのに、ギリギリまで焦らして、
我慢してでも彼に欲して欲しいと思う。

こんな風に奥まで探り、彼のイイトコロ
全部を刺激して、その反応に俺自身が
痛いくらいになってても。

俺ってMなのか?
痛いくらいの快感。

でも知ってる。

限界まで我慢したって、彼に欲された
時の快感は何よりも高まって。

至高の快楽。
抗えない程の愉悦。

こんなもの味わったら他の人との普通の
SEXなんて出来やしない。


ゲイとか、バイとか、
男女が普通の関係なのだとするなら
アブノーマルとか、そんなものどうでも
良くなってしまう位の快楽。

俺を虜にして、雁字搦めにする程の。

俺は彼に溺れてる。
溺れて捕まって、雁字搦め。


此処まで俺を嵌めた責任取って?

…嵌めてんのは俺の方だけど
なんてオヤジギャグだってまた怒られる
かな。…貴方にならそんな風に怒られる
のだって快感で。

貴方に気に掛けて貰える、
貴方の視界に俺が居る、
その安心感。

普通は安心とドキドキは真逆な筈なのに
事、貴方に対しては全て込み。


ほら、こんな風に。

貴方のソコが準備が出来てヒクヒクと
疼いてる。それを見てドキドキする興奮
それから、欲しがられてる安心感。

こんなの、貴方にしか感じない。


好きだ、愛してる。

言葉でならそんな風にしか表せない
この気持ち、貴方に開いて見せられたら
いいのに。

…でも、見えてしまったら、引くかな。
あまりの執着に。
俺の貴方しか見えてないこの重さに。


「……あーっ、もう!」


そんな思考に耽る俺に、焦れた彼の声。
そして何と、彼から俺のを呑み込んで。


「ぅア………ッ!」
「く……ゥッ…、」


彼の熱さに包まれたらもう後はどうでも
良くて。俺の中は彼への愛しさと執着で
いっぱい。

後は彼に注ぐしか出来ない程に。


熱いカラダ
それよりもっと熱い想い
その全部を


「う、……ぁ、………ッ」


彼の低い喘ぎ。
女性の様にアンアン言うわけじゃない
けれどこの低い…息を詰める様な喘ぎが
堪らない。


「よし、と…ッ」


そしてその合間に呼ばれる俺の名。

その甘さが何よりも睦言。
あまりの愛を語ってくれない彼の、
素直じゃない愛の囁き。

これこそが。



それなのに

そう思ってたのに


「金曜日、どんなに遅くなっても…
来いよ、ウチに。待っててやる、から」


こんな囁き。
しかも耳元で。

こんな風に貴方に愛を囁かれ、
俺がどうにもならないと思ってる?



悪いけど、今夜は覚悟して。

この愛しさ、注がずには居られないから






Happy Birthday YOSHITO♡
2016.02.19 xxx







end.

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