Present

□バースデー
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【 バースデー 】


誕生日を誰かと過ごしたいと
思ったことはなかった

小さい頃は両親からお祝いして
もらうのは当たり前だったし、
嬉しかった記憶はある


でもそれ以外はあまり誕生日だからと
パーティしたりとか興味はなかった
まぁ男なんてそんなもんと思ってた

でも
初めて女の子と付き合った時
恋人同士にとっていかに誕生日が重要な
イベントなのかということを知った
俺の誕生日に一緒に過ごせなかったと
大泣きされて怒られて、正直ひいた



でも女の子はみんな
誕生日が大好きだった
それが自分のでも人のでも



それからは彼女という存在の子とは
誕生日を過ごすようにはなった
でも正直、相手の機嫌を損ねないように
する為に過ごすだけだった




そんな俺だったのに
夏輝さんと付き合って
初めて迎える自分の誕生日を
一緒に過ごしたいと思った
彼の柔らかい優しい声で
おめでとうと言われたかった


初めて女の子たちの気持ちがわかった
好きな人をお祝いしたいし、
してもらいたい気持ち








それなのに…………………………















「ねぇ夏輝さん…………
来月の19日って逢える?」


俺の腕の中にすっぽり収まっている彼の
柔らかい髪の毛に指を絡ませながら
聞いてみる




2月19日は俺の誕生日





「ん〜?何かあったっけ?
……来月の19?……………
あぁ、オレ日本いない」



少し眠そうな彼の声
抱いた後の色気を含んだ声色なのに
いつもなら甘く俺の鼓膜を震えさせる
のに、この時ばかりは俺の心にグサリと
刺さった気がした…………



「……………いない?」

狼狽しているのを悟られまいと
普通を装う



「ん〜?トラックダウンとPV撮影で
ロンドン………10日からかな……
何かあった?」




自分の誕生日だからなんて言うのは
ちょっと……かなり恥ずかしい




「義人?……何かオレ忘れてる?」



腕の中でモソモソ動いて俺と目線が
合う位置まで彼は布団から出てきた
彼にみつめられつい正直に答える



「………俺の誕生日…………」


ポツリと言えば


「あっ………ゴメン……そうだった
うっかりしてた……」


彼の綺麗な形の眉がふにゃりと
はの字になり、またゴメンとつぶやく


「…気にしないで
逢えたらいいなと思っただけだし、
仕事じゃしょうがないから」


心底残念に思ったけど
目の前の申し訳なさそうな彼を見たら
そんなこと思っているのは
知られたくなかった





「何か、欲しい物ある?
誕生日逢えないお詫び
何でもいいよ、あげる
帰ってきたらそのまま
逢いに行くから」


小さな子に聞くように優しい
俺を甘やかす声

だから甘えてみる


「ん………夏輝さんが欲しい
リボンつけて逢いにきて
それで俺の好きにさ…」


「却下………もう寝る」

俺の欲しいものを全て聞いてもらう前に
強制終了させられた……
仕方がなく寝ようとしたら


「そんなガッカリすんなって」


クスリと笑い
コショコショといつもミィにするような
手つきで俺の顎を擽る
そして鼻先へのキス



「遅れちゃうけどお祝いしような」




優しい優しい彼の声


彼のその言葉だけで
とても幸せな気持ちになった













だけど
彼と肌を合わせたのはこの時が最後で
もう1ヶ月近くたっていた

いい加減、夏輝さん欠乏症だった





今日は俺の誕生日



何事もなく
いつも通り仕事をこなして
いつも通り帰宅して
いつも通りシャワー入って
いつも通りビールとつまみを出して
いつも通りソファに沈みこむ






「はぁぁぁぁぁぁぁ」


思わずついた特大のため息




逢いたい逢いたい逢いたい
夏輝さん不足で干からびそう



帰宅まで何日だろうか、なんて
ボーっと考えてたらメールが鳴った



それは
逢いたくてたまらない彼からの
メールだった
慌てて携帯をつかむ



『件名:ハッピーバースデー』


『おめでとう
ほら、最高のプレゼントだろ?

明後日戻る
バースデースーツで祝ってやるから
楽しみに待っとけxxx』



えっ何が???
祝ってくれるの?本当に????


沢山の疑問符が頭の中にうかんだ
でも添付されていた写メを見て
その疑問符は跡形もなく消え失せた



そこには
いつだかミィに粗相をされて
夏輝さんの家で洗濯したまま忘れていた
俺のワイシャツを羽織った彼



ワイシャツの前をはだけさせ
くわえ煙草で
妖艶に笑いながら自撮りをしてる彼




そして
その首には深紅のリボンが
緩く結ばれていた





俺が欲しがったプレゼント


即座に却下したのに
ちゃんと俺の欲しいものをくれようとする



どこまで彼は俺を甘やかすのだろう




あぁ
過去最高のプレゼント






――――――――――――――――――
滾って書いてみたYO!
蓬莱さんのきゅんきゅんするお話
目指したのに全くきゅんきゅん
ならなかったYO(笑)

なっちゃん
ロンドンによっちゃんのワイシャツ
持って行っちゃったのねw
……やだ!ブカブカの彼シャツ?!
何それ?!エロいよ!なっちゃんwww
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