刀剣達と女審神者

□平穏
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ーー西暦2205年。
歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって過去への攻撃が始まった。
時の政府は、"審神者"なる者を各時代へと送り出す。
審神者なる者とは、眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる、技を持つ者。
その技によって生み出された付喪神「刀剣男士」と共に歴史を守るため、審神者なる者は過去に飛ぶ――。


――歴史修正主義者の跋扈する日本に、時を越え、刀剣たちが蘇る――


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某日、本丸の朝。
昨晩、溜りに溜まった政府からの書類を片付けていた所為か、審神者である雪華は朝食の時間になっても起きられずにいた。
そして、雪華を起こしてきてほしいとこの本丸のオカンこと燭台切光忠に頼まれた鳴狐とお供の狐。
「主、起きて」
『主殿!朝ですぞ!!』
鳴狐とお供の狐がそれぞれ起きるように声をかけるも、当の雪華が起きる気配は無い。
どうしたものかと悩んでいると、彼女の近侍である小狐丸が通りかかり、事情を言うと…
「成程。ぬしさまは寝起きが悪い時がありますしね。手伝いましょう」
『おお!それはありがたい!』
静かな寝息を立てる雪華に近づき、小狐丸は雪華の頭を優しく撫でながら声をかけた。
「ぬしさま、朝食の時間になります故起きてください」
しかし、それでも少しだけもぞもぞと動くだけでまた静かな寝息を立てている。
小狐丸は鳴狐のお供の狐に視線を向け、
「ふむ…。狐殿、ぬしさまの頬に擦り寄ってみては下さらぬか」
『主殿はそれで起きるのですか?』
「恐らく。やってみる価値はあるかと」
お供の狐は、小狐丸に言われた通りのことをした。すると…
「んむ………、もふもふ…」
『あ、主殿!目を覚まされましたか!』
「ん…?あれ…狐さん……?」
「おはようございます、ぬしさま。朝食の時間ですよ」
まだ寝惚けているようだが、一応は目を覚ましたようだ。
「ごはん…」と呟きながらのそのそと起き上がった雪華。
「こぎつね…」
「承知」
雪華が小狐丸に両手を伸ばすと、小狐丸はその意図を理解し、雪華を抱き上げ雪華の部屋を後にした。
部屋を出ると、お供の狐が感心したような声音で問いかけてきた。
『小狐丸殿、よくアレで主殿が起きると分かりましたな』
「まぁ、ぬしさまの近侍になることが多いですから」
『成程…。ああ、主殿起きていてください!』
またこくりこくりと船を漕ぎ出した雪華に、お供の狐は慌てて言った。
「……まずは顔洗いですね」
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そして顔を洗い、殆ど目が覚めた雪華は、欠伸をしながらも燭台切が作ってくれたご飯を食べていた。
「雪華ちゃん随分眠そうだね」
「うん…。小狐丸と鳴狐達に迷惑かけちゃった」
「そんなことはありません。ぬしさまの寝顔も見れましたし」
「さいですか…」
微妙な表情で湯呑の茶を啜る雪華。
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