刀剣達と女審神者

□対峙
1ページ/3ページ

会議室に通され、時の政府最高責任者と思しき人物と向き合う。
「貴方が最高責任者?」
「いかにも。私の名は雪咲邦之。君の…実の父親だ」
「なっ!?そんなの信じられないわ!」
「しかし事実だ」
「嘘よ!私に父親なんていない!いたのは…、いてくれたのは母だけだったもの!!」
「…どうやら、あいつ…雪音は私の存在を伏せていたようだな」
「!母さんの…名前……」
「だから言っただろう。私は君の実父だと」
「そんな……」
膝から崩れ落ちそうになる雪華を、隣に控えていた小狐丸が抱きとめた。
「ぬしさま、お気を確かに」
「小狐…私……」
母親が亡くなってからはずっと陽の当たらない裏社会で生計を立て、なんとか生きてきた。父親は遠くに仕事に出ていると聞かされていたから。
そして、母の葬儀に父親だと名乗るこの男の姿は無かったはず。
「話したいことはまだあるが、特務について話すぞ」
雪華の様子を見、視線は小狐丸へ移し話し出した。
「……今回の特務は、とある時代に検非違使が複数出現したという報告を受けた。問題なのは、その検非違使達が連携しているということだ」
「連携…ですか?」
「ああ。隊を編成し、うまく連携して攻撃してくる。それなりの経験がなければすぐに全滅してしまうことだろう」
「………ぬしさま。やはりぬしさまは本丸に残ったほうがよろしいのではないでしょうか?」
「なに?」
「小狐…?」
邦之の眉間に皺が刻まれ、もとより強面の顔が更に恐く見える。
「こ、小狐…?何言ってるの?」
「ぬしさまはお優しい方。特務には我ら刀剣とともに戦場へ出るおつもりなのでしょう?」
「そうなのか?雪華」
「…………ええ。私は今、私を信じてついてきてくれる彼らを一人も失いたくない。だから、いざとなったら私は彼らの盾にだってなります」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ