刀剣達と女審神者

□平穏
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「あ、今日は私も一緒に出陣するからね」
という、刀剣達からしたら聞き捨てならないことを平然と軽く言った雪華の言葉に、彼らは思わず吹き出した。
「え、ちょ、主!?何言ってるの!?」
「そうだ!それだけは絶対に許さねぇぞ!」
「ぬしさま、どうか本丸で待機していて頂けませぬか」
と、刀剣達が口々に雪華を止めに入る。
刀剣達にとっては、こうして人の形で存在していられるのも雪華のお陰であり、その力を与えてくれた雪華が戦場で死してしまった場合、おそらく刀に戻ってしまうだろうと危惧してのこと。
そして何より、刀剣達はそういったことを抜きにしても、彼女の人柄に惹かれ、それぞれが慕っているのだ。
死と隣り合わせとなる戦場に、そんな彼女とともに行くことを良しとする者は当然おらず…
「あるじさま、ぼくのかえりをまっていてくださいませんか?」
「いっちゃん…?」
「あるじさまが本丸にいてくれれば、ぜったいにかえらなきゃっておもえるんです。だから…」
そして、今剣は瞳を潤ませ雪華を上目遣いで見つめた。
「う、うぐ…!」
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!いっちゃん可愛すぎるよ!!どうしよう!え、これはお持ち帰りオッケーなの!?あ、家はここか)
「だめ…、ですか?」
「よし。マイエンジェルいっちゃんに免じて本丸で待ってる」
今剣をぎゅーっと抱きしめている、今剣にはとことん弱い雪華。これはもう、ある意味審神者失格ではないだろうか?
という思いもあるが、その場にいた刀剣達は心中で安堵の息を漏らしていた。
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