刀剣達と女審神者

□対峙
2ページ/3ページ

「ぬしさまらしいですね。……ですが、先程の内容から察するに我らが出陣している戦場よりも遥かに危険な戦場のはずです。ならば余計に貴女を同行させる訳には…」
「…小狐丸」
「はい」
「私は誰がなんと言おうと、この特務には同行するって決めてるの。でも勘違いしないでね?これは私があなたたちを信用していないわけではないの。ただ、どうしようもなく心配なだけ」
「ぬしさま…」
「………それでは、特務を受けるということでいいのだな?」
「ええ。私が彼らを護ってみせる。ひとりだって欠けさせてなるものか!」
「ふっ。よろしい。それでは特務の決行は一週間後としよう。それまでに、雪華はオリジナルの自分専用の刀を造るといい。自分の身を護る護り刀だ」
「は?一週間で作れるわけないでしょう?」
「いいや。君ならやってのけるさ。とりあえず、話は終わりだ。下がり給え」
邦之の言葉に納得出来ず、キッとひと睨みし、雪華は会議室を出て行った。
会議室には邦之のみが残る。
「さて。あの子はこの特務で一番大切に想っている側近を一振り失う。その場に直面した時、あの子の心はどう変化するか……。一週間後が楽しみだ」
そこには、不敵な笑みを浮かべる悪魔がいた。



一方、雪華達の方はというと……。
「三日月さん、倶利ちゃんお待たせ!」
「本当にな。待ちくたびれたぞ阿呆主」
「なっ!倶利ちゃん酷いわ!!」
「はっはっは。よいではないか。主が無事に帰ってきたのなら」
「さっすが三日月さん!」
そういいながら、雪華は三日月に抱きついた。三日月も、いつものように優しげな笑みを浮かべながら雪華の頭を優しく撫でている。
「それではぬしさま。我々の本丸(家)へ帰りましょうか」
「うん!帰ろっか!」
先程までのモヤモヤとした嫌な感じが楽になっていることに気付き、上機嫌でお供してくれた刀剣たちと本丸へ帰って行った雪華。
本丸へ帰れば、刀剣達という自分を支えてくれる仲間が待っていてくれる。
こんな、当たり前になりつつある平穏な日常が続いてくれるものだと思っていた。
そう。一週間後に彼らを待ち受ける「特務」という哀しみの戦いを経験するまでは。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ