青 春 教 室
□1.片思いの時間
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昨年の秋。
この頃から赤羽くんは素行不良な生徒として有名だったので、誰もが極力関わりたくないと思っていた。
もちろん私も。
しかし、事件が起こったのはそんなある日のことだった。
「本当に1人で大丈夫?最近、この辺り椚が丘の生徒に暴力振るう事件が多いみたいだから送っていくよ?」
『ううん、大丈夫!それより悠馬はバイトあるんでしょ?ほら、急がないと。』
「でも…」
『心配しすぎだよ?大丈夫だから、ねっ?』
「わかった。でも何かあったら連絡だけはしてほしい。」
『うん、約束するよ。』
そう言って悠馬と別れた後だった。
目の前にはヤンキーらしい男が3人、帰り道を塞いでいる。
困った。人通りが少ないこの道を通らないと帰ることが出来ない。
「あれー、君、椚が丘の子?」
「うっわ、しかも超可愛いね!この後カラオケとかどうよ?」
『いえ、この後勉強があるので。失礼します。』
家に帰ったら復習しないと、また悠馬に頼ってしまう。
何から予習しようかと考えつつヤンキーらしい男の横を通り過ぎようとした時だった。
「はあ?可愛いからって、調子乗ってんじゃねーぞ!」
『いっ…!』
どうやらヤンキーらしい男の手が拳になって私のお腹に当たったらしい。
なんてことだ。
そして、殴られた場所がかなり痛くて動けそうにない。