駄文:鎧鋼

□シアワセな昼下がり
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きらきら光ったキレイな髪はアルのお気に入りだ。
サラサラと枝毛一つない長い髪を一通り梳かし終える
艶を増した髪の毛を手早く結い上げる。
うなじに垂れた後れ毛を櫛で撫ぜ付け形を整える。

きゅっと結んで背中に流す。

なかなかキレイに結べた。
自分の仕事に満足する

髪に… ちゅっ

「んだよ。アル」
くすくす

…あんまりにも可愛く笑われたので…


髪がかかる耳にも キス
まろいほっぺにも キス
秀でたひたいにも キス
かわいいお鼻にも キス


くす くす くす
さらに笑われる。

笑みを浮かべるサクランボみたいなくちびるにも…

…キス…

ちゅっ・ちゅっ・ちゅ…

「…んんっ…」
しだいに深くなる口付けに抗議してトントンと背中を叩かれたので、手近な潅木に隠れる。

背の低い木しかないが、一応の目隠しだ。


ぴったりとしたパンツに包まれた足の間をフトモモでぐりりっ…と押し上げ、
右手がフラチな動きを見せた時…

バン!
と、窓の開く音と、罵声。

「そう言うコトは家に帰ってからにしたまえ!!」


「…ちっ…」
 常になく舌打ちをこぼし、マスタング少将の執務室を見上げる。

「出歯亀ですか?」
 良いご趣味で。

白い歯輝く爽やかな笑顔だが目は笑っていない。
それに対し、ウブな女性なら腰砕けになりそうなフェロモンを垂れ流しながら、


「ここは私の室の真下だ。不埒なマネはゆるさんよ。」
莞爾と笑んだ。


お互い物凄い笑顔であるのが恐ろしい。


どんっ
ばたばたばた…

ばっと我に返った兄が拘束する腕と身体を突き飛ばし騒々しく駆けて行く。
早く捕まえないとこのまま逃げられたら…しばらく避られ倒す事必須だ。
いってらしゃいのキスやただいまのキスさえしてくれなくなる。

死活問題だ。


嘆息をもらしまだまだ文句の言い足りなさそうに少将を見上げる…と、
少将の背後にもう一つの金の輝きがひらめいた。

含み笑いを一つ零すとあっさり身を翻し駆けていった。
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