図書館♪
□第五章…人質…
2ページ/5ページ
一緒に行きたい……!
そんな事を言えるはずもなくて………。
愛螺は俯く。
「…ごめんなさい…。
愛螺が大切だから、連れていく訳にはいかないの……」
「……うん。分かってる。
……大切にしてくれてるって分かるだけで…嬉しいよ」
「……絶対…取り戻す………!」
愛螺の言葉に綾奈は微笑む。
そして目を細め、低く言った。
「………待っててね…」
綾奈が苦笑する。
愛螺が強く頷いた。
「……行ってらっしゃい」
「……えぇ」
綾奈も頷き返し、走り出した。
「……琴音…………」
無事に戻ってきて……!
「……ん………」
「…あ。目覚ました♪」
琴音は、意識を取り戻した。
そんな琴音に、亜梨那が嬉しそうに笑った。
「……!此処は……!?」
バッ
グンッ!
「!?」
琴音は今、暗くて、肌寒い所に居た。
今の状況に気付き、体を動かしたが、体と柱に巻き付けられたロープに引っ張られた。
「だぁめ♪
動いちゃ………♪」
スッ
亜梨那が琴音の口元に指を当てた。
そして、その指を静かに首筋まで移動させながら言う。
「…貴女は大切な人質だから♪」
「……っ………」
琴音は亜梨那を睨み付ける。
亜梨那は動揺せず、笑顔のまま。
「……お姉様。
目を覚ましましたよ」
亜梨那が指を離し、立ち上がる。
そして、静かに綾奈母、莉美を振り返った。
「!」
「……そう…。
綾奈はそろそろかしらねぇ…♪」
「……えっ……!?」
莉美の言葉に琴音は目を見開く。
胸の鼓動がやけに大きく聞こえる…っ…
「……綾奈が…っ!?」
「…言ったでしょ?
貴女は人質だって♪」
亜梨那が楽しそうに言う。
「……っ…(私のせいで……綾奈が…!!)」
琴音は目を細める。
「……!(そうだ……!)」
これなら…縄を解ける……!
…危ないけど……っ
「ねぇ、亜梨那…だっけ?」
「ん〜?」
亜梨那が首を傾げる。
「……この縄解いてくれたら、貴女の言う事何でも聞いてあげるよ?」
「!」
亜梨那の目が見開かれた。
「そ、それほんと……」
「馬鹿ね。騙されてるんじゃないわよ。
逃げるに決まってるでしょ」
「チッ……無理か…」
琴音が舌打ちした。
「…危ない…騙される所だったぁ」
「ねぇ」
亜梨那が不敵に微笑む。
琴音は再び問い掛けた。
床に落ちているナイフを指で示し…
「あれってさ…人殺せるの??」
「……な…?」
不敵に微笑む。
莉美の眉が寄った。
「……人を殺せるかって?
左胸を刺せばあっという間にあの世行き……」
「…なら、試してみてよ」
琴音は莉美を挑発する。
「…へぇ。いい度胸してるじゃない」
莉美は冷笑を浮かべた。
そして、亜梨那を見る。
「亜梨那。この子を殺しなさい」
「!!」
亜梨那は驚きで目を見開く。
「…そこのナイフで、
痛めつけてやりなさい。
……動けなくなる位」
「……殺すのは反対です…。綾奈が来なくなる」
莉美の言葉に亜梨那が反対した。
莉美は目を伏せ言った。
「…指示変更。
痛みつけなさい」
「了解」
亜梨那はナイフを掴む。
琴音が亜梨那を睨む。
「…やるならやれば?
私は死なないから」
「…いつまで強がれるかな?」
ヒュッ