図書館♪

□戦いの日常
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此処はある街・・…。

ドゴォォォンッ!!!

爆発音が鳴り響く。

「いい加減手を引いてくれないっ!?」

鎌を振るいながら少女は言う。

「いーやっ!誰が手を引くかっ!」

同じく鎌を使って少女は受け止める。二人は全く同じ面差し。
・・と言っても顔だけだ。
彼女達の名はアイルとアンナ。
アイルの服装は一見普通の制服に見えるが普通の十倍の厚さにされている。手には三日月が彫られた鎌。
一方アンナは全身黒ずくめの服でミニスカート。上は袖のない服、その上に黒いコートを羽織っている。

「これは私の獲物!邪魔しないでよねっ!!」

と、アイルが指差すのは一匹の魔物。

「私が先だったんだからっ!」

アンナは一歩も譲らない。

「なら…決着つけるしかないねっ!」

鎌から刃が放たれる。

「無駄だよっ!!」

アンナの鎌はアイルとは違い星が彫られてある。
鎌の刃をアンナは簡単に避ける。

「そんなもの通用するとでも………、っ!!」

アンナが口を開いた途端にアイルが背後から蹴りを入れた。

「きゃあぁあっ!!」

鎌使いは後ろは防御出来ないので背後からの衝撃は大きい。

「これで終わりっ!!」

アイルがとどめの一撃で
鎌から刃を放つ。

「ーっ!!」

避ける事も出来ず、アンナはとどめをくらう。

「………よし。」

魔物に向き合うアイル。

「覚悟しなさいっ!!」

魔物に向かって突進し、
腹部と思われる所に鎌を突き刺す。グチャという効果音と共に鈍い衝撃が走る。

「はぁっ!!」

鎌を持つ手に力を込めて横に一線に払う。

『グァァァァァッ………………!!!!』

恐ろしい叫びと共に魔物が消滅した。空から赤い玉が降って来た。
アイルはそれをキャッチする。

「やったぁ♪私の勝ちぃ」

「アーイールー・…」

下から魔物に負けない程の恐ろしい声が聞こえた。

「・…あははー」

引きつった表情で下を見る。
アンナが凄い形相で見ていた。

「きゃー。アンナ怖ぁい;」

「誰のせいだあぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁ!!!!」

低い叫びと共にアンナがアイルに襲い掛かる。
アイルは悲鳴を上げ本気で逃げる。
ここで説明。
ここはセイラン国といい
鎌使い、水使い、炎使い、草使い、
剣使い、銃使い、槍使いという
七種類の属性を持つ使い達が生活する国。
鎌使いは鎌を扱い

水使いは水を自由に操り

炎使いは無限の炎を武器に

草使いはあらゆる植物で相手を拘束

剣使いは短剣、大剣を使う

銃使いは遠距離の銃を持つ

槍使いは銃と違い近距離の武器

それぞれの属性はこの国の女神に決められる。主導権は持てない。

そしてそれぞれの使い達はこの国に現れる魔物と戦う。

その中でアイル、アンナは鎌使い。
アイルとアンナは顔は同じだが全くの別人。
この世界に「姉妹」「兄弟」等は存在せず、顔は同じでも全く血の繋がりはない。
そして同じ属性同士は女神によって二人一組でチームを組まなければならない。
アイルとアンナは鎌使いのチーム。
赤い玉はこの国の金貨にもなる。

「大体!私が先に見つけたんだから私に狩らせるのが普通でしょっ!?」

「何でそうなるのよ!勝負で負けたからって負け惜しみしないでよね!」

様々の攻撃を避けながらアイルは叫ぶ。

「負け惜しみなんかじゃないわよっ!!!!」

大きな刃をアイルに放つ。
それも至近距離で。

「んなっ・…!!」

鎌で受け止めるが衝撃で吹っ飛ぶ。

「何で私達がチームなのよ!
こんな自分勝手な人となんか組める訳ないのに!」

「うっわ!何その言い方!
私だってあんたみたいな
自分重視で勝手な行動に入る人となんか組みたくなかったよ!」

「なっ…!だったらこっちも言わせてもらうけどねぇ!あんたは・・…」

どっちもどっちだと思うが。
というのは置いといて、

そう。
この二人は出会った時から仲が悪く
この国でも「仲が悪いチーム」として有名な程。

この国ではさっき説明した通り、
「同じ属性」というだけでチームを組まなくてはいけない。
めったに仲が悪くなったり、お互いを嫌う事は無かった。が



この二人は例外だった。



















この二人を組ませた女神はいつも
城の中から水晶を通じて様子を見ている。

女神の姿は全身黒のコートに
長めのスカート。女神には合わない格好。髪型は地面に付く程長く、
軽くウェーブがかかっている。
瞳の色はエメラルドグリーン。

「…おやおや。この二人はまた言い争っているのか」

「そのようですね」

女神の言葉に答えたのは女神に一番寵愛されている、女神官ルーン。

ルーンは金髪のショートカットで
神官の服を着ている。
瞳の色は淡い赤。

「やはり…あの二人を組ませたのは間違いだったんじゃないでしょうか」

その言葉に女神ライトはエメラルドグリーンの瞳を細める。

「…そんな事はない。その内に、
お互いを思いやる事が出来るようになるさ。」

「そうでしょうか・…」

全く分からないというようにルーンは困った表情を向ける。

「お前は、女神の言う事を信用できないか…?」

それを聞いたルーンは慌てて否定する。

「と、とんでもないっ!!
私は女神様を一番信用しています!女神様が言うのなら、私はあの二人を信じます!!」

女神がルーンに向かって微笑む。

「そうか。なら、信じていろ。」

「はい!」
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