図書館♪

□第四章―記憶―
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あれから……私達は家に帰り、朝を迎えた……。














ジリリリリッ!

「んー……五月蝿い…」

バキッ

今の音は琴音が目覚ましを止めようと手を伸ばしたが、強く叩きすぎて
目覚ましが壊れた音だった。

「起きな。琴音」

ヒュッ

ガタンッ、バッ

「あ、亜紀姉さん!?」

「ほぉ。成長したね。
私の攻撃を避けるとは」

亜紀が足を振り下ろした瞬間、琴音が反応し、避けた。
それを見た亜紀は驚いて目を見開く。

「い、いきなり攻撃するの止めてよぉ」

「……起きないのが悪い」

「うっ…………」

琴音はそれ以上何も言えなくなった。
亜紀が部屋を出てく。

「……はぁ……憂鬱…」

琴音が肩を落とし、呟く。
憂鬱なのは学校もそうだ。けど、もう一つ理由がある。

それは裕也との接っし方。裕也の琴音に関しての記憶は全て消去された。
……琴音が望んだ事。
裕也と華恋を助ける為に、琴音がした事。
裕也は琴音を忘れているから、今まで通りに接するわけにはいかない。

そう琴音が考えに耽っていると………












ガッシャアァンッ!










「!?」







琴音の部屋の窓が割れた。





「………あ、綾奈!?」

窓から入ってきたのは綾奈だった。

「……おはよう。琴音」

「………おはよう…。
って!何で窓壊して………」

「話があるの」

二人は挨拶を済まし、琴音が怒ろうとしたのを、綾奈の声が遮った。
琴音は綾奈の声が緊迫した雰囲気だったので、思わず後ずさる。

「………何……?」

「……分かってるでしょう?大体の理由は」

「…………分からないなぁ。何しにきたの?」

綾奈が鋭い目付きで琴音を見て、琴音はとぼける。
本当は、分かってる…。

「………裕也さん関係。とまで言わないと駄目かしら?」

「……っ」

やっぱり。
1番今触れたくなかった所なのに………。

「裕也が何?」

「……正直に答えなさい。琴音。
貴女は、後悔してないの?」

「………………して………ない……」

琴音は目を逸らし、答えた。
綾奈が即答する。

「嘘ね」

「……………うん。嘘」

琴音は素直に嘘だと認め、寂しそうに笑った。

「……後悔してるよ。
それに…少し寂しい気もする」

「なら何故……!」

「……言ったでしょ?
裕也と華恋を助ける為って」

「………」

琴音が薄く微笑む。
綾奈は先を促す。

「……どっちも居なくなってもらっちゃ困るの。
どっちも学級委員だし、裕也は特別だし、華恋だって死なれたら困る。
……似たような事を昨日言ったよ?」

「えぇ、聞いた。
…………一つ言うわ。
裕也さんは多分琴音の事…………」

「いいのっ!!」

琴音が怒鳴った。
綾奈は口を紡ぐ。

「……いいの……。
これで…。」

「…………そう…。
なら私はもう口出ししないわ…」

綾奈が背を向け、窓に足をかける。

「…………有難う」

「………?」

琴音がぽつりと言った。
綾奈は、琴音を振り返る。

「…………何故礼を言うの?」

「……愛螺助けてくれたでしょ」

「!」
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