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□第五章…人質…
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「……あーぁ。
捕まっちゃったわね。あの子」

『!』


綾奈母が口を開いた。


「……どういう…」

「さすが亜梨那。

私の妹だわ」


「…なっ……!?(妹!?)」


「……捕まっちゃったって…………?」


愛螺は恐る恐る問い掛ける。

綾奈母が口元を歪める。


「……ふふっ…♪
貴女達の身近な人…。



ヒュッ


……来たわね…」



『ーっ!!?』


綾奈母が目を向けると、彼女と全く同じ面差しをした少女が現れた。


愛螺と綾奈が驚いた理由はそうじゃない。



「…琴音っ!?」




その少女が、ぐったりした琴音をお姫様抱っこで抱えていたからだ。

綾奈が悔しそうに目を細める。


「…お母様……!!」


「…お姉様。
私、この子が気に入りました…♪」


少女が綾奈母を見た後に抱えている琴音を見下ろし言った。


綾奈母が少女を見る。

「それはそうよ亜梨那♪

綾奈だって気に入った子なんだから♪
丁重に扱って頂戴」

「…はぁい…♪」

ペロッ…


『!!』


亜梨那が琴音の頬を引き寄せ、舌で舐めた。

綾奈と愛螺が身構える。


「…さぁ亜梨那。
行きましょう?」

「はい♪お姉様」

綾奈母の言葉に亜梨那が微笑む。

「ま…」

「待って!!」

綾奈の言葉を愛螺が遮った。

綾奈母と亜梨那が振り返る。

「……何?」

綾奈母が問い掛ける。

愛螺が震えながら答える。

「…琴音を……返して……!!」


「……!」

愛螺の答えに、綾奈母が答えず、亜梨那が答えた。

「嫌ぁ♪

私、この子気に入ったんだもん♪」

「!」

愛螺が息を呑む。


綾奈母が微笑みながら言った。


「綾奈」

「!」

名前を呼ばれた綾奈は目を細める。


スッ


「…お母さ……」


「……綾奈。この子を助けたかったら………」



「……!!」


綾奈母がすれ違いざまに囁いた。

綾奈の目が見開かれる。




「…じゃぁね。綾奈♪」


「……この子を取り戻せるかな…?」


シュッ


二人が消えた。


「……琴音……っ…!」


愛螺が座り込んだ。

綾奈は目を伏せ、唇を噛む。


「………(お母様……いや………莉美……!)」


綾奈は…こう聞いた。











『この子を助けたかったら、
あの場所に来なさい。

貴女一人で……♪

誰か連れて来たら………分かってるわね…?』






「……(莉美は…私に一人で来いと言った…。

一人で行かなかったら……琴音は………)」



……十中八九殺される…。







「(愛螺に言う訳にはいかない……。

言ったら確実について来るから……)」


綾奈は一人で考え、やがて大きく頷いた。


「…愛螺」

「?」

愛螺が綾奈を見上げた。

綾奈は一旦目を伏せ、再び開く。

「…琴音は、私が絶対取り戻す。

だから、愛螺は、私を信じて待っていて。」

「……!!」

綾奈の言葉に愛螺の瞳が揺れた。
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