図書館♪
□第五章…人質…
1ページ/5ページ
「……あーぁ。
捕まっちゃったわね。あの子」
『!』
綾奈母が口を開いた。
「……どういう…」
「さすが亜梨那。
私の妹だわ」
「…なっ……!?(妹!?)」
「……捕まっちゃったって…………?」
愛螺は恐る恐る問い掛ける。
綾奈母が口元を歪める。
「……ふふっ…♪
貴女達の身近な人…。
ヒュッ
……来たわね…」
『ーっ!!?』
綾奈母が目を向けると、彼女と全く同じ面差しをした少女が現れた。
愛螺と綾奈が驚いた理由はそうじゃない。
「…琴音っ!?」
その少女が、ぐったりした琴音をお姫様抱っこで抱えていたからだ。
綾奈が悔しそうに目を細める。
「…お母様……!!」
「…お姉様。
私、この子が気に入りました…♪」
少女が綾奈母を見た後に抱えている琴音を見下ろし言った。
綾奈母が少女を見る。
「それはそうよ亜梨那♪
綾奈だって気に入った子なんだから♪
丁重に扱って頂戴」
「…はぁい…♪」
ペロッ…
『!!』
亜梨那が琴音の頬を引き寄せ、舌で舐めた。
綾奈と愛螺が身構える。
「…さぁ亜梨那。
行きましょう?」
「はい♪お姉様」
綾奈母の言葉に亜梨那が微笑む。
「ま…」
「待って!!」
綾奈の言葉を愛螺が遮った。
綾奈母と亜梨那が振り返る。
「……何?」
綾奈母が問い掛ける。
愛螺が震えながら答える。
「…琴音を……返して……!!」
「……!」
愛螺の答えに、綾奈母が答えず、亜梨那が答えた。
「嫌ぁ♪
私、この子気に入ったんだもん♪」
「!」
愛螺が息を呑む。
綾奈母が微笑みながら言った。
「綾奈」
「!」
名前を呼ばれた綾奈は目を細める。
スッ
「…お母さ……」
「……綾奈。この子を助けたかったら………」
「……!!」
綾奈母がすれ違いざまに囁いた。
綾奈の目が見開かれる。
「…じゃぁね。綾奈♪」
「……この子を取り戻せるかな…?」
シュッ
二人が消えた。
「……琴音……っ…!」
愛螺が座り込んだ。
綾奈は目を伏せ、唇を噛む。
「………(お母様……いや………莉美……!)」
綾奈は…こう聞いた。
『この子を助けたかったら、
あの場所に来なさい。
貴女一人で……♪
誰か連れて来たら………分かってるわね…?』
「……(莉美は…私に一人で来いと言った…。
一人で行かなかったら……琴音は………)」
……十中八九殺される…。
「(愛螺に言う訳にはいかない……。
言ったら確実について来るから……)」
綾奈は一人で考え、やがて大きく頷いた。
「…愛螺」
「?」
愛螺が綾奈を見上げた。
綾奈は一旦目を伏せ、再び開く。
「…琴音は、私が絶対取り戻す。
だから、愛螺は、私を信じて待っていて。」
「……!!」
綾奈の言葉に愛螺の瞳が揺れた。