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□陽だまり
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ドフラミンゴの元からナミを連れ出したルフィは一言だけ言った。

「その服は、脱げ。」

これは服と言うにはあまりにも豪華なドレスであるとか、小脇に抱えられて街の上を飛んでる最中に脱げと言われても難しいこととか、色々言いたいことを全部我慢してナミは考え込んだ。

その横顔はあまりにも憮然としている。
つい、お日様のような笑顔が向けられると思っていたナミは、びっくりしてしまったのだった。
いつもなら考えるより先にどうしたのか問うていただろう口を噤んでしまった。
怒っているのだろうか。
私が、力及ばずに攫われたから?

船に戻ると全くいつも通り、トンチンカンなことをしている船長が、こちらを見もせずに言った言葉が脳裏を離れない。

きらびやかな衣装を仕舞って、風呂に入り軽装でベッドに腰掛けたところで、ドタバタとがさつな足音を立てながらルフィがやってきた。
今まで何度も何度も汚い格好のままベッドに登るなと叱ってきたおかげで、彼はベッドを背もたれにして床にどかっと座った。

「どーしたの?」
必然的に、あちこち痛んだ麦わら帽を見下ろすことになったナミは恐る恐る聞いた。
「.......悪かった。」
帽子を深くかぶるので、表情は見えない。
「おれが守りきれなかったから、お前があいつのとこに行かなくちゃならなくなって。」

ナミは驚きで目を見開いて思わず口を開いた。

「そんな...私が余計なことしなければ、あんなことにならなかったわ。」

「お前がどうするかは関係ない。何があっても守る。」

ほとんど顔にかぶっている麦わらが揺れる。
よかった。怒っているのではなかったのだ。
強い口調で衣に言及され、何があったか尋ねても来ない船長に、嫌われているのかと思った。
それは、心の底までヒヤリと冷たくなるような恐怖だ。

「なんだ、よかった...怒ってるのかと思った。」

「おれは自分に怒ってる。おまえが側にいないと落ちつかねぇからな。」

口説いているような台詞だ、とナミは思いながら、この男に限ってそんなことはあり得ないと気をとりなおして息をついた。

「なにか...されたか。」

こわいこと。
振り返って見上げた真剣な瞳がナミを射抜くようで、ナミは冷静を装うことができなかった。

「な、な、何もされてないわよ...!」
「うそだな。目が泳いでる。」
「ほんとだってば!」
「においが」

ずい、とナミの顔を覗き込むルフィを押し返していたナミは、ハッとした。
その隙にすっぽりとお日様の腕に抱きしめられてしまった。

「いつものお前のにおいじゃねぇ。それが許せなかった。」

ナミのまだ濡れている髪に顔をうずめるルフィの表情は見えない。

まさか、ルフィは自分が好きなのか?
だから怒っていた?
いや、そんなことはまさか。

「る、ルフィ、あのっ」
「抵抗しねえと、止められねぇから。」
「は!?

ルフィは力任せにシャツを引きちぎろうとする。
この男は自分に嫌がることはしないだろうという確信がある。
だから例え予想外のことが起こったとしても彼への信頼は変わらない。だからこそ、自分は自分らしくいられるのだ。


「ギャー!やめてー!!!」
「どうしたナミさんんんんーーー!!!」

バーンとドアを開けて入って来たのはこの船のコック。
彼が見たのは2メートル程張り飛ばされる船長と鬼の形相の航海士だった。

「サンジ!!!たすけて!

ルフィ!土足で!ベッドに!登るな!!!」

その後、シーツを洗濯するルフィとサンジの姿があったと言う。


「ナミ、ボタンが取れそう。」
「あっ、こっ、これは...」
「ルフィも随分手荒なことするのね」
「ちがっ、もう!からかわないでよ。でも聞かれたわ。こわくなかったかって。気にもされてないと思ってたから、よかった。」
「へえ。じゃぁルフィに決めたと言うこと?」
「もーロビンはすぐそーいう風にしようとするんだから。あいつは仲間なら誰にでもそうだと思うわ。」
「そ、そうかしら?だってシャツをちぎるような間柄でしょう?」
「ちぎられてないからセーフよ。未遂。」
「でも抱きしめられたって。」
「あいつ女帝にもそんなことしてたらしいし、女ヶ島で色々覚えたんじゃない?本気にするだけムダムダ!」
「これは手強いわね。」








End

ナミも操られてなければドフラミンゴにも同じようにしたと思いますよ。

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