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□脅迫 おまけ
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脅迫 おまけ




やっと見たかった顔が見れた。
ナミは思った。
きっと、私にだけ見せる顔を、ローは見せて、好きだと言った。
優しい顔。
険しい顔も嫌いではないけれど、ナミの、好きな顔。

黒髪を胸に抱きしめて、抱き寄せられたはずなのに、私が抱きしめている体制になって、ローの頭を抱えるのは、ほろ酔いの体に心地よかった。
何かを抱いていると、安心する。
女は命を産むものだから、何かをいだくと落ち着くものなのかもしれなかった。
これじゃ、愛だか愛情だか。

女の欲が親愛に変わろうとした頃、男の葛藤は女の比ではなかった。

豊かな胸が目の前にある。
目の前にあると言うより、息もできないほど包まれている。

細腰を抱き寄せて、想いが伝わり合ったのはいい。
しかし、柔らかい体があまりに心地よくて堪能しているうち、頭を撫でる女の手の妖艶さは消え失せた。
代わりに居心地のいい親愛のようなものがあって、ローは撫でられるままになっていた。

キスのひとつでもしていれば、後は野となれ山となれだが、この状況になった以上、あるいは、ここが勝手知ったる自らの船でない以上、ローはこの先どうすることも出来そうにないし、またしても主導権は女の手の中にあるのだった。

女は恋人になった男の隣に座り直して、ニコニコした。
グラスを煽ってウイスキーを飲み干すと、ローの腕に自分の頭を預けるようにもたれかかった。

「私、ローのその顔好きよ。
優しくて、穏やかで、ドキドキする。
そんな顔もできるのね。」

普通の女なら飲み過ぎだろうが、この女はどうだろう。しなだれかかって、こんな可愛いことを言ってくる。
ここにベッドがあればいいのにと、ローは詮無いことばかり考えてしまう。

キスしても、怒らないだろうか。

仲間がいつ来るかもしれない場所で、おっ始めることになるかもしれないのだが。

ローは、ナミの髪を一房取って口付けた。
そのまま首筋に鼻を寄せて、口付けを落とすと、ナミが目を閉じたので、唇に触れた。

いいのだ。この女は何かにつけて能力が高いのだから、いざとなったらきっと何もない場所へでも導いてくれるだろう。

その信頼を盾に取ると、もう止まりそうもなかった。
背中をかき抱いて何度もキスをすると、ウイスキーは甘くて甘くて、思考は上滑りをするばかりだった。

薄い腹を撫でて服の下から胸に手を差し入れると、弾力のあるそれは掌に収まり切らない。

あ、と小さい声が漏れると更にキスは激しくなり、服の上から胸の頂きを甘噛みするとビクッとしなやかな体が揺れた。

「ロー、だめ、こんなとこじゃ」

完全にスイッチが入りましたという顔でとろんとしたナミが言うと、ローは聞こえないとばかりにナミのタンクトップを脱がした。

黒い下着が更にローの情欲をそそる。
最高だと思いながら胸を揉むと、今度は嬌声が上がった。

「あん、もう、下に行きましょ....」

アクアリウムバーに行くまでにも、色んなところに体をぶつけ合いもつれ合ってソファに倒れこむと、ローがすぐに覆い被さって彼女の下半身に手を伸ばした。

トロトロどころか完全に濡れた下着に、芽は硬く主張していた。
これを自分がしたかと思うと、男は非常に気分がよかった。
固いところを弾くたびにナミの高い声が聞けることに満足した。

「ロー、ロー」

赤い頬は上気して、潤んだ目で男を見つめた。
ずっと太ももに当たっていた固いものを触って、腰を動かした。

ローは興奮でどうにかなりそうな頭で組み敷いたナミに口付けると、ナミの中に腰を進めた。

「あっ、ああっ!」
「痛いか?」

ローの言葉に、ナミはぶんぶんと首を振る。

「気持ち、いいっ...!」
「....っ!」

出し入れする音は激しく、抱き合う2人の間には隙間すらなかった。
隙間があることが惜しいとでも言うように強く強く抱きしめた。

ナミは気持ちが良すぎて足をローの後ろでクロスさせて腰を浮かせた。
限界を感じたローはナミを起こして下から突き上げ、自分も上体を起こすと座ったナミの胸を舐めた。

「な、んで、こんなにっ、気持ちイイのっ....!?」

こっちが聞きたいくらいだった。
こんなに肌が泡立つほど強い快楽など、感じたことはない。

「あっ、あっ!ああっ!!」
「ナミっ、、!」
「あっ、ロー!あん!ロー!」

同時だったらいいな、と思った。
女の絶頂は長く続くから、もっともっと気持ち良くしてやりたかった。

滑らかな腹の上に白濁を出すと、息を切らした男女は少し見つめ合って、キスをした。

こんないいセックスなら毎日だってしたい。
ーーでは結婚しなければ。
ローは思った。








そうして付き合って数時間後に、男が「一生一緒にいてくれ」と言うと、女は涙が出るほど大笑いして、「あんたが飽きるまで私はあなたのものよ」と言った。













End

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