novels

□22.嫌よ嫌よも好きのうち
1ページ/1ページ

22.嫌よ嫌よも好きのうち











朝、寝ぼけ頭にそう言われて、ナミは訳がわからなかった。

今まで誤解していたと。
女の嫌は、嫌じゃないんだなと。


「え.....一概にそうとは言えないでしょ。」

たっぷり首すじにキスをされながら、ナミはされるがままになっている。
もうそろそろ起きなければならない時間だが、攻められ過ぎた体はだるくてやる気が出ない。

たこみたいだ。
身体中に吸盤という吸盤で吸いつかれているみたい。
心の中でタコ呼ばわりした彼氏に毒づく。

「....やめてよね、それを他の女で試すのは。」

「なんでそんなこと俺がしなきゃならん。」

お前がいるのに、と言うので、ナミは甘いため息を吐いた。

「なんでそんなこと言い出したの?もしかしてルフィかしら。」


ローはムッとしてナミの耳に噛み付いた。

「あん!」

「他の男の名を出すからだ。」

「でも図星ね。」

ナミが少し目尻に涙を浮かべて振り返る。

「あのね、ルフィはやめてって言ってもやめない奴だわ。本能のままに生きてるから。でもあんたは、優しいから...本当に優しいから、私を思って、やめてくれるの。嫌がることはしないと努力してくれるの。だから、好きになったの。」

ローに向き直って、胸板に触れた。

「私は、あんたには嫌と言わない。もし言ったとしても、それは嫌じゃないから....だから、私だけにしてね。」

俯いてぽつりと言うナミはかわいかった。

「お前以外いらねぇよ。」

悪戯心が湧いて、また耳を噛み、睨みつけて来るナミの目を見ながら平然と胸を揉んだ。
ナミはぺしっとその手を叩いた。

ベッドに膝立ちになって、ローの上にまたがる。

「あんまりおいたしてると、お仕置きするわよ。」

ローはごくりと唾を飲んだ。

「もう朝だが...誰か来たら....」

「知らないわよ。あんたが何とかしなさいよ。」

見下ろす猫の強い目に、興奮する。

「おいナミ....」

「何よ。」

「お前今日一日、ここに入院してくれ。」

「いやよ。仕事もあるのに....」

「あとこれも飲んでくれ...!!」

「これあのマタタビじゃない!!イヤよ!!絶対!!」

「お前嫌じゃないって言ったろ今!!」

「....!!言ったけど....!!」


結局分厚い医学書の角でローの頭を殴って、ナミは逃げ出した。


しかしどこへ逃げてもどこへ隠れても、スキャンして探し出されて捕まった。


これは物凄い男を敵に回して(?)しまったとナミは思った。


「あれ?ナミ〜こっちに来てたの?」

ベポがふぁぁとあくびをしながら廊下の先にいた。

「ああっ、ベポたすけ.....」

パッとナミの姿が消え、船長室からドンガラガッシャーンと言う音がした。

ナミが部屋から転がり出てくるのを遠目に見て、ベポはほのぼのと言った。

「結局そうなったんだ〜よかったね、キャプテン。」

うんうん、と頷くベポ。
ナミはハァハァと息を切らして廊下に倒れている。

「ナミ頑張ってね。キャプテンちょっとクルーをたまにバラしたりするような変態なとこあるから。」

「ハァ、ハァ、あんたの言ってた変態って、それだったの...!?」

ナミが言うか早いかまたパッと消えてローの部屋に戻された。

ベポは部屋に向かって呼びかける。

「朝食はどうするの?二人とも食べない?」

「食べな...「食べる!!!すぐ行くわ!」

ナミはドタバタと出て来て、ローを置いて食堂に向かった。

人がたくさんいる所なら、あの男も手出しは出来ないだろう。

とにかく、マタタビだけは回避したい。
あの自分の醜態を忘れてはいない。
ナミは思わずペンギンを探してしまった。

「あっ、ナミだ〜!どうしたんだよ、朝から。」

「おはよう、シャチ。ペンギンは?」

「あいつ確か昨日夜は見張りだよ?そういやさー!昨日麦わらのルフィと話が合っちゃってさー!」

「あぁ、あんた合いそう。脳みそ使ってないもんね。」

「おいおい、それはヒドイだろ!」

「褒めてんのよ。」

朝食をよそって席に着く。
水とワンプレートのお皿を乗せたお盆を目の前に置いて、水が奇妙に揺れたのを見た気がした。

「シャチ、この水飲んでみて。」

シャチは訝しげな顔をしたがごくごくと飲んだ。

すると、さっと顔が赤くなり、ナミに襲いかかった。

「キャァァア」

「しゃ、シャチ何してるの!?」

「シャチがナミを襲ったー!麻酔ー!!!」


そして次の瞬間、朝食のお盆ごとローの部屋に呼び戻されるのだった。

「ちっ、シャチに飲ませるとは」

「あんたもうこわいわ!!」





結局ナミが解放されたのは、昼を回ってからだったと言う。










Next

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ