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□22.attack
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21.attack
ローEND








相変わらず、測量室にはペンの音が響いていた。
時折大きな定規を使って長い線を引く、その迷いのない音も心地よかった。

「ドレスローザに着いたら、どうするの?」

ナミは作業する手を止めず、顔も上げないまま言った。

ローは当たり前のように測量室に入り浸っていて、ゆっくり腰かけて本を読んでいた。

「スマイル工場を破壊して、ゾウへ向かう。そこで俺の仲間と合流する。」

「その後は?」

「.....船に戻ってまた旅を続けることになるだろうな。」



「....そう。寂しくなるわね。」





ぴくりと、ローは顔を上げた。

ナミはさらさらとペンを走らせている。

オレンジの頭は上げられない。

もくもくと作業する背中。


ーー聞き間違いではなかったかと、今の言葉を何度も確かめた。



体は勝手に動いていて、気づけば椅子に座る女を後ろから抱きしめていた。

柔らかい髪、良いとしか表現できない甘い匂い。
ぎゅっと力を込めると体温が感じられた。

ほっそりした手が、おずおずと回した腕に触れる。

また、あたたかくなった。

触れられた部分から、熱が広がるように。

白い手は、作業をしていたせいか、冷たいのに。



ーー離れたくない。



そう言うと、華奢な肩がぴくりと揺れた。

「私も、離れたく、ない、わ....」

最初は、なんて嫌な奴だろうと思った。

なのに、一緒にいると楽しくて、ドキドキして、嬉しくて、いつの間にか、ずっとそばにいたくなった。


ナミが振り返って眉根を寄せ見上げるのに、ローは息を飲んだ。

切ない表情はいつもより可愛くて、迷うような眼差しに男として導かなければならないと言う気がした。



キスをしても、ナミは嫌がらなかった。

頭がガンガンするような幸福を感じて、ひとつ、ふたつ唇を落とせば、ナミは赤くなってそれに応えて来た。

首に手を回して立ち上がると、抱き合って求め合った。

そのままソファに腰かけて、唇を貪って、ナミが膝の上に跨って来るともう止まらなくなった。

ローの輪郭に確かめるように触れて、何度も角度を変えてキスをすると、すっかり身体の準備はできてしまったようで、ナミは硬いものが当たる度に声を上げて震えた。

ローが壊れ物を扱うようにナミの体を寝かせる。
頭を支えてゆっくりと横たえるその手つきが、本当に大切にされているように感じて、ナミはとろりと笑った。

「きて、」

長いキスにもう体の芯は熱く火照っている。
愛撫もそこそこに腰が進められると、堰を切ったように胸を鷲掴まれ、別人のように荒々しく抱かれた。

「ああっ!とつぜ....っ、どうし....あっ!ぃ、い...っ!」

「.....っ!」

とろとろの中に出し入れされて、卑猥な水音が響いた。

ローの動きは止まることを知らず、敏感なところを擦りあげてきた。

全部が良いところに当たるので声すら我慢できない。

「ダメっ....!!もう、いく....っ、いっ、いっちゃう...!!」

好きな女をいかせる、男にこれ以上ない満足感を与えて、何度目かに同時に達すると、二人は抱き合ったまま荒い息をした。


「....ハァ、ハァ、大好きよ、ロー。」

「......やっと素直になりやがったか。」

ローの言い草に少しむっとして、ナミは言った。

「なによ。あんたもでしょ。」

「俺は既に、ちゃんと言うべきことは言った。」

「そうだっけ?....ねぇ、私のこと好き?」

「.....それはもう言ったはずだ。」

「もう一回言ってくれたっていいでしょ。」

「......そう言えば。」

話を逸らしたローは体を起こして組み敷いた女を見下ろした。

「なんだ。幸せパンチって。どんな技だ。」

「技とかじゃないわよ!!誰かの悪ふざけよ。真に受けないの。」

ナミは乱れた衣服を整えながら言った。

「......? なんで服を整えてる。」

「あんたがぐしゃぐしゃにしたからでしょ。退いて。」

ローは退けと言われて、逆にまたナミに覆い被さってキスをした。

「ん、....ふっ、ぅん....」

ナミの目がとろんとして来たところで、にやりと笑う。

「よし。素直になったな。」

「....なんなのよ、もう。」

「まだお前の体を見てない。」

「いやっ....!明るいじゃない!恥ずかしい...!」

「うるさい。」

恥ずかしがる仕草も可愛い。
本当はもっと、じっくり、隅から隅まで食べてしまいたいのに。


うるさいと言われてナミはぱくぱくと口を開けて絶句した。

なんて失礼なやつ!

「.....そんなにして欲しいならしてあげるわよ...!」

「なに....」



ぱふっ



胸に顔を思いっきり挟まれた。

「新技、幸せアタックよ。100万ベリー頂きますから。」

「....ひゃらいまふ」


胸を押し付けてローの頭を抱きしめていると、スルスルと服も、下着も器用に取り払われていた。
見下ろす黒髪が生の肌に埋もれてぱふぱふしている。

ーーまあ、幸せそうだからいいけど。

無愛想で無表情なのに、少しずつ彼の感情の機微がわかるようになってきた気がする。
ローも、なんだかんだ言って嫌がらないナミに気づいていた。

「あん!...こらっ!」

そう怒る表情も可愛くて、ローは胸の先を弄ったり吸ったりした。

「ああっ、ロー、大好き.....っ」

嬌声を聞きながら何度も抱いて、ナミが自分の女になった幸福に酔いしれた。


この女のことだから、これから先もハラハラさせられるのだろうが。


妖艶に笑うナミに、ローも笑った。

こんなに可愛くちゃ仕方がない。

そんな気がすると。











ーー可愛くないと思ったのは、めちゃくちゃ可愛いの裏返しだった。









End

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