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□23.so sorry
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21.so sorry
ミホークEND










「お前と言う奴は」

世界一の剣豪と言われ、鷹の目と畏れられ、その不動の地位を確立する男は、この女の前でだけ、ただの男になる。

男は豪奢な造りのホテルの部屋の中で、女の真白の身体を後ろから貫いていた。

腰を打ちつける度に形の良い尻が揺れ、真っ赤に染まった唇からは嬌声が漏れ出て、顔が見えないのも、その乱れた表情を想像して、甘いため息がこぼれた。

「お前と言う奴は、その身体を他の男に見せて、俺が許すと思っているのか。」

「...あぁっ、ごめ、なさい.....っ」

自分の指を噛んで声を我慢しようとするナミが、喘ぎながら腰をよじる。

ちらりと後ろを振り返ると、自分を攻める男の姿が目に入って、余りの恥ずかしさにシーツに沈み込んでしまった。

ミホークが髪にキスを落として、身体を仰向けにさせられる。

心臓がずっとドキドキしていて、目に涙が溜まった。
荒々しく抱かれることに慣れていないので、その強引さに濡れ過ぎて、ずっとずっと卑猥な水音が響いているのだ。



原因は、いつだかドフラミンゴのカジノの島で、三つ巴になる男たちにロビンが幸せパンチを提案したのが発端で、この島に滞在していることを聞きつけたミホークがナミの元に現れ、その体を攫って行ったのだ。

直ぐさまスイートルームのベッドに放り投げられたナミは、何が何だかわからず息を飲んだ。

「裸を見せたと?他の男に。」

「アレは....!!見せたって言っても一瞬よ!」

「しかも一人10万ベリーとか。お前、よもやそう言った商売をしているのではあるまいな。」

「そんなわけ...!」

「そのように思えんから言っている。」

ミホークはするするとナミの身につけているものを取り払って行く。

気がつけば下着だけになっていたナミは、腕で体を覆うように隠した。

「....怒ってるの?何年も前の話よ、それ。」

「あの島から今日まで、俺の身になって考えてみるがいい。」

ーーもしかして、この男は私を好いてくれているのだろうか。

怒っている。

怒りに震えている。

ミホークの後ろに、静かな炎が見える。

「あっ、ミホー、く、ぁん....」

「覚悟しておけ。今日は優しく出来ん。」

「もしかして、ヤキモチ、焼いてるの....?」


ミホークは目を見開いた。

自分の人生と最もかけ離れた言葉を掛けられた気がする。

それはまるで普通の男がするような。


「..........」

「もし、そうなら.....」

ナミは組み敷かれたベッドの上で横を向いて、口元を手で隠した。

「......う、うれしいかも......」



脳がぐわんぐわんと揺れた。

その衝撃は絶大で、本当に止められそうにない。

「ふふ、本当に普通の男みたいね。あんなに強いのに....ミホ、んんっ!!」

長く口づけると、ナミの目が蕩けた。

「すまん。お前が愛いのでやはり優しく出来そうにない。」

「あっ、だめ、ぅぁ....っ!」

「まあ、どちらにせよお前の因果だ。甘んじて受け止めよ。」

「なにそれ、あん!やっ、ミホーク!」

何度かナミが上り詰めると、もう猫はとろとろとした目で従順になった。

「後ろを向け。」

「ふぁい......」

ズブズブと入り口に進めるとニャーニャーと鳴いた。
ナミは泣きながら気持ちいいと喘ぐ。

「ああ、ミホーク、きもち、いいっ....!」

「みだりがましい体だ。この片鱗でも、他の男に見られるのは耐えられん」

「あっ、あんっ....ごめん、なしゃい....っ」

「......っ、」


肌の当たる音が、速いテンポで部屋に響くほど強く突いて、ナミはそれに合わせて甘い声を出した。

「あっ、あっ、あっ、あっ」


この美しい体を、抱ける者がこの世に何人いるのか。

ナミの髪に口づけると、柑橘類の爽やかな香りがした。
とてもこの娘らしい、潔い清廉な香りが。

仰向けにすると、目に涙が溜まっていた。

「ミホーク」

「愛している。」

目を丸くするナミの頬に口づけて、涙を唇で掬った。

強く抱きしめて同時に達すると、ミホークの腰を掴まえたナミの足がびくびくと震えて、隙間がないくらいぴったりと引っ付いて、しばらくそのまま動くことが出来なかった。






「ハァ、すごく気持ちよかった」

ミホークの腕枕に頭を預けながら、ナミが甘えて言った。

「....淫らなことを。」

「ねぇ、2年間ゾロと修行してたのよね?」

男は少し憮然として言った。

「.....だとしたら何だ。」

「あ、ヤキモチ焼いた?」

くすくすと笑うナミに腹が立って、尻を思い切り揉む。

「あん、」

「ヤキモチも何も、お前の前の男の話をなんで聞かねばならん。」

「そ、そうね....」

ナミはただミホークにヤキモチを妬かせたかっただけなのだ。
少ししゅんとしたナミの髪を梳いて、ミホークは目を閉じて言った。

「2年、あの男はよく修行していた。」

「え?うん。」

「だからロロノアに妬くことはせん。アレは息子のようなものだ。」

「あ、そうね、あなた独身だものね。」

にっこりと笑ってナミが胸板に頬を寄せた。
そんな関係は、いいな、と思った。

「あと、贈り物たくさんありがとう。ドレスを贈るのは、所有欲の表れ?」

「そうだな。」

マメな贈り物も、他の男への牽制と、道楽だ。
この娘のことを考えるだけで、少し毎日が楽しくなるから。


「ミホークといると、航海士でも、泥棒猫でもない、ただの女になる気がする。」

ミホークの肌にちゅ、と口づけながら、ナミが言った。

「ああ、そうだな.....」

自分をただの男にしてくれる女は、世界中どこを探しても。

「お前の前では、ただの男になれる。」



ーーありがとう、と、頭の上で男は言った。

ナミは何故か、男の心の柔らかい場所に触れた気がした。
ミホークの顔を見ると、穏やかで、優しく笑っていた。

「愛している。」

髪に口づけて、愛を囁く男の、深い愛情に溺れて。









髪へのキスは、思慕を意味する。
想いは募るばかりで、もう両手でも抱え切れない。








End

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