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□聖なる夜
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聖なる夜










ルフィの場合



「なーナミ、クリスマスってなんだ?食える?」

「うーん、食べれないわね。さてはこの島でクリスマスやってるのね?」

寄港した島で、第一陣、島を見て帰って来たらしいルフィが言うので、ナミは洗濯物を畳む手を止めた。
先を急ぐこともない旅なので、ログも1週間ほど掛かると言うし、ナミは用事を済ませてゆっくり上陸するつもりだったのだ。

「お祭りみたいなものよ。七面鳥を食べて、ケーキを食べて、ある人の誕生を祝うの。クリスマスソング歌ったり、イルミネーションを見たり、プレゼント交換したり。現代では恋人のお祭りになってるみたいだけどね。」

「七面鳥!ケーキ!」

案の定食べ物に目を輝かせるルフィに、ナミは少しため息を吐く。

女の子なら誰もが夢見るクリスマスを、この男に求めるのは酷と言うものなのだ。
まあ、気持ちを伝え合った訳でもない、ましてや彼女でもない、けれどいつも側にいるような微妙な関係だけれど、例え今日がクリスマスだからと言って関係が進展するなどと期待はしない。
それをこの男に求めるのは甘い見通しと言うもの。

「じゃ、早くこれ着ろよ、寒いぞ。」

「え?」

「日も落ちて来たしな。」


連れて来られたのは街の小高い丘に立つ教会.....の屋根の上。

跳ばないでね、跳ばないでね、と言うナミの言葉を、最近では少し聞いてくれるようになった。
後頭部を支えて、包むように抱きしめて、びゅんと飛ぶけれどこわい思いをすることも少なくなった...ような気がする。
自分が慣れただけかもしれないけど。


「わ.....きれい......」

「一番いい場所だぞ。すげー光ってるだろ。」

下手なイルミネーションよりも綺麗な、街を見下ろす夜景。

「お前と見たかったんだ。気に入ったか?」

「う、うん...!もちろん、すごく」

まっすぐな言葉で、こちらの体温を上げるようなことを言ってくるルフィにドギマギするけれど、本人はそんなつもりはないのだからと自分に言い聞かせる。

でも、少ない足場に寄り添っているのでその心臓の音が聞こえてしまいそうで、余計に動揺して顔が真っ赤になっていた。

ルフィはそんなナミを見て、楽しそうに笑う。

「じゃあこれで、イルミなんとかはオッケーだろ。次はプレゼントだな。」

「うん?」

「ん!」

ルフィは綺麗な貝殻をナミに手渡した。

「きれいだろ!いつか、お前に渡そうと思ってたんだ。」

「!うん...とっても....」

手の中できらきらする貝がら。
予想もしていないことばかり起きすぎて、ナミには言葉が出てこなかった。

「ルフィ、あ、ありがと.....」

「おう。気に入ったか。」

「とってもきれいで....もちろん...!」

「じゃあ、お前からもくれよ。プレゼント。」

ナミは慌てる。
だって、そんな、乙女の夢見るクリスマスなんかに付き合ってくれるような男に見えなかったので、そんなものはもちろん準備していない。

「えっ、ルフィ、ごめんね。私何も用意してない....!」

「うん。いい、いい」

ルフィはニカッと笑った。

そして、寒いのか少し鼻を赤くして言う。

「おれが欲しいのは、これだから!」

ルフィにぽふっと抱きつかれて、いつもより着こんだ男の肩にドキドキした。

どう言う意味で...!?

ナミは絶句する。

私、どうしたらいいの....!?

ナミは真っ赤になって、ルフィが相手なのに、いつものようにあしらうことが出来ずに困惑した。

こんなに胸がきゅんとするのはクリスマスの力なのだろうかと、真面目に考える。

「えっ、ど、どう言う意味....」

「おれにくれるか?」

ルフィは真っ赤な鼻で笑う。

「えっ、うん...何を.....」


言う間に、唇を食べられた。

「全部。」

「んっ....ルフィ.....っ」



もちろん、あげる。




ホテルか、部屋かどちらがいいか聞くと、今日は部屋!と言うので、今日は.....と頬を赤くしたナミは、聖なる夜を朝まで船長と過ごしましたとさ。










Who's next?









☆彡

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