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□PenN
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聖なる夜PN
ペンギンの場合
「うおー!!マジ!?麦わらの船も来てるんだけどー!この島!」
双眼鏡を持ったシャチがはしゃいでいるが、それよりも重要なことがあった。
麦わらの船....!?
会いたい。
ペンギンの心をオレンジ一色が占拠した。
カイドウ討伐の旅以降、会うことの叶わなかった恋人に。
「行って来いよ。船長にはうまく言っといてやるし。」
ニヤニヤ笑ってそう言うシャチに、生まれて初めて感謝した。
ペンギンは私服に着替えて、飛ぶように船を出た。
麦わらの船の近くでそのオレンジ髪を見つけた時には、喜びで心臓が止まりそうになった。
どう声をかけていいものかわからず、二の足を踏んでいると、ナミはこちらを振り返った。
美しい目、賢そうな眉、血色の良い唇、その姿に息も止まりそうになって、心臓も息も止められては生存を継続することもできないと、命を恋人に握られる喜びに震えていた。
なのに。
ナミはペンギンに気づかず前を素通りした。
「ちょ、ちょ、ちょっ、まっ、」
「?」
ナミは新手のナンパかと、訝しげに視線を上げる。
意志の強そうな女の目は、いつでも男を萎縮させるが、今日のペンギンはそう言うわけに行かない。
なにせ一緒にいられる時間は限られている。
え、とナミが顔をまじまじと見てくるのに、また胸が高鳴る。
「.....ペンギン?」
「.....ナミ。」
ほっとして、ペンギンは愛しい名前を呼んだ。
胸がわくわくして、ドキドキして、この時間が終わって欲しくない。
ナミはペンギンに思い切り抱きついて、力の限り背伸びをしてその唇にキスをした。
「んっ、ナミ.....」
「....はぁ、」
1分か、2分か、もっと長い間キスをして、2人はしっかりと抱き合った。
人目があるかもしれなかったが、そんなことはもう問題ではなかった。
「....驚いた。私服なんだもん。誰だかわからなかったわ。」
「気づかれなかったらどうしようかと思った。」
糊付けしたように抱き合ったまま話して、2人でくすくすと笑った。
ああ、会えた。
愛して、焦がれてやまない相手を、この手で今、抱きしめている。
「ウソみたい。最高のクリスマスプレゼントね。」
「え?」
気づかなかったの?今日はクリスマスイブよ、とナミが言った。
「いつまでこの島にいるの?」
「最低でも、3日は...」
「一緒に、いられる?」
ナミが頬を染めて聞いて来るので、ペンギンは堪らなくなる。
かわいくて、信じられない。
「断らないでくれよ。一緒に居たい。」
「嬉しい。....私も。」
2人は手をつないで、街へ消えた。
変わらない愛を、クリスマスの夜に。
Who's next?
☆彡