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□聖なる夜ZN
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聖なる夜ZN







ゾロの場合



「ねぇ〜〜ゾロ〜〜」

ナミが背中にだらりと覆い被さってきた。
正確には体が小さいので後ろから男に引っかかっているような感じだが、首に手を回されて負ぶさられると、敵に背後を取られたようで落ち着かない.....と思ったのは、随分昔の感想だ。

今では。

「...テメェがそんな声出すときは、ろくな事がねぇんだよ。」

怒らなくなった。
ちょっと照れたようなのにやめろとは言わなくなった。
ナミはそんなゾロを見てにんまり笑う。

「あら、わかるの?」

「語尾を伸ばさねぇだろ、普段は。」

「私だってたまには甘えたい時もあるの。」

ごろにゃんと、ナミが言うのにさっと頬が赤くなる。
でも悟られたくはないので微動だにしない。言葉を発しもしない。

ゾロは優しいとナミは思う。
しかも、みんなに優しいのではない。
それは愛する者だけに、つまり、私だけに。

「ねぇ〜、本当にろくなことにならないと思う?」

「...何を考えているやら。」

「クリスマスって知ってる?」

「?クリ、何だって?」

はぁー、とため息を吐く音が聞こえる。

「世界中のみーんなが、好きな人と一緒に過ごす日なの。それが今日なの。だから、私と一緒に過ごして。」

こいつ、可愛いところもあるじゃねぇかと、ゾロは思った。

可愛いところが好きなだけじゃなく、素直なところも、あるいは小生意気なところも、好ましいのだ、何もかも。

「その願い、叶えて欲しいか。」

「なに?横暴ね。」

「その代わり、お前も俺の言うことを聞く。」

「いいわよ。」

嫌なことなら踏み倒せばいいだけと、ナミはらしい持論を抱えて高を括る。

「じゃあ一緒にこの島デートしてね。イルミネーション見たり、ケーキ食べたりしたいの。」

「それが条件なら。」

絶対に嫌がることを言ったと思ったのに、やけに聞き分けのいい恋人にナミは訝しんだ。

「....プレゼント交換もするのよ」

「プレゼント!いいじゃねぇか。」

ニヤリと笑う魔獣に嫌な予感がする。


町へ出ると、意外にもちゃんと腕を組ませてくれて、たまに手もつないだりして、イルミネーションなんて見ても光ってるくらいの感想しか持たなそうなのに、すげー光ってて眩しいくらいだな。と言ったので、隣を歩く男の肩に頭を預けてナミは満足した。

「おいしい?」

「甘い。」

ルフィに見つからないように、ケーキを持って船に戻って、隠れて2人で食べた。
この島の自由な滞在時間。
クリスマスなんて、くだらないと言って付き合ってくれるなんて思わなかった。
やっぱり、優しい。
私にだけは。

トレーニングルームはゾロの部屋のようになっているから、そこから景色を見たりする。
少し遠くに見える町の夜景はきれいだった。船にいないクルーたちは、皆どこかに泊まっているのだろう。

「じゃあプレゼントね。」

ちゅ、とナミはゾロの頬にキスをした。

「お礼は?」

「.....ありがとう......」

お金がかからなかったことにも満足しているナミは、ゾロにも同じプレゼントを請求するつもりで聞いた。

「はい。じゃあゾロもプレゼント。」

「....アー.....」

ほっぺを出して待っていると、ゾロが頭を掻いているのでパチクリ目を開けた。

「お前。やるときは何回いってる。」

「え?何の話?」

「ヤる時何回イくかの話。」

あまりにぞんざいな聞き方に、ナミが少し慌てふためいた。

「え....っと、あんた長いから、10回くらいじゃない。」

「10回か、よし。」

ゾロが頷いた。

「じゃあ今日は、30回いかせるのがプレゼントだ。聖なる夜だからな。」

それでは性なる夜の間違いじゃ...!?とナミは思ったが言葉には出さなかった。

「ちょ、ちょっと待って」

「俺の言うことを聞く。」

ゾロの強い言葉にドキッとする。
意外にも、好きな男に命令されるのに弱いのだ。

「目、閉じろ。」

いつもはキャンキャンうるさいのに、こうなると従順なナミに興奮する。

だって、あんな風に甘えて来るからだ。

女を一人愛するようになってから、いつ触れてくれるのか、そればかり気にかける体になって。

触れられた首筋と、ナミの体温を感じた背中が熱いから。

喜ぶ顔も、悦ぶ顔も見たいから。

大人しく赤くなって目を閉じるナミが可愛くて、聖なる夜の幕開けに、その細い体をぎゅっと抱きしめた。








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