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サンジくん
サンジくん
大好き
耳元で囁く迦陵頻伽の声に、心を奪われて今だ返してもらっていない。
大好きな人と思いが通じ合って、自分は変わった。
こんなに人を愛する力があったのかと驚き、自分の持つもの以上の力が湧き出て、強くなれたと思う。他の女性に優しくするのにも、どこか線を引いて。
だけど自分が情けない。
こんな理由で、彼女を避けなければならないなんて。
でも、彼女といて、我慢できる自信は正直ない。
抱く訳にはいかないのに。
今、一生懸命夢に向かっているひとを、誰かの夢を支えようとしているひとを、自分の身勝手で立ち止まらせる訳には行かないから。
「.....何故あなたがナミを避けるのか、わかったわ。」
食後に外から戻って来たロビンがサンジに言った。
「あー、ルフィか......」
「ハァ、あのコが私を選んでくれるのなら、そんな心配することもないのに。」
「.............それは、すっげぇ見てみてェ気もするけど、でも、でも、俺としては、ダメ.....です.....」
「フン」
今、フンって言いました?
ロビンがこんなに感情を表に出すなんて珍しい。
それでもすかさず紅茶を淹れて、サンジはピンクの想像を頭からかき消した。
「...ロビンちゃんは、本当にナミさんが好きなんだね...」
「ええ。あなたのおかげで気づくことができたわ。最も、あなたのおかげでちょっと嫌われてしまったけど。」
責任取りなさいよと言う調子でロビンが怒っているので、美女の怒りは買うものじゃないとサンジは少しやつれる。
「恋敵に情報を与えるのもシャクだけれど、いいの?今あの子ゾロといるわよ。二人きりで。」
「!?」
サンジは煙草をぽとりと落とした。
「んっ、ゾロ、だめよ....」
「...お前のせいだからな。男と二人きりで誘うようなことして来るからだ。」
そんなことをして、男がどうなるのかわからせてやらなければと思った。
どちらかと言えば、叱るような気持ちで、白いうなじに、少しだけ噛みついた。
「だって....」
寂しいんだもん。
寂しいから、差し伸べられる手に縋って何が悪いの?
「あんた、ちゃんとゴムは持ってるわよね?」
「は....?」
「持ってないとする訳に行かないわよ?」
「なに....?ゴム?」
「もしかして、知らないの?」
これは、ちゃんと教えてやらねばと言う気がした。
だって一番大切なことだ。
「あのね、ゴムって言うのは...」
「ナミさんっっっっっ!!!!!」
ガチャガチャガチャガチャ!!!
ドアノブを無茶苦茶にする音がして、二人はドアを見た。
「これ!!蹴っていい!?蹴り壊していい!?!?今すぐ!!」
「は!?ダメに決まってるでしょ!?修繕もタダじゃないのよ!?」
「おおおおいマリモ!!!テメェ俺のナミさんに手ェ出してんじゃねーだろーな!!!どっちにしろぶっ飛ばしてやるから出て来やがれ!!!」
「なにが....」
「何なのよアンタ!!!もう私のことなんて要らなくなったんでしょ!?私が誰と何してようが勝手じゃない!!!ほっといて!!!」
「そんな訳ねぇだろう!?ナミさんは俺の彼女だよ!!!一生変わらねェから!!」
「....っ!何調子良いこと言ってんの!?避けてたくせに!!私が勇気出しても無碍にしたくせに!!」
「......それは......!!!」
こんなダセェこと、言えねぇ。
「.....!!もういい!!さ!ゾロ行きましょ!続きするわよ!!邪魔されたけど!」
続きと言ったのは厳密には性教育の続きだが、この状況でそうだとはナミ以外の誰も思ってはいない。
「それは私がさせないわ。」
「「ギャー!!ロビンが生えたーーー!!!」」
ゾロとナミの間からロビンの半身が生えてきてナミの両手を掴んだので、二人は叫んだ。
「ナミ、ごめんなさい。さっきサンジと居たのは誤解なの。私はあなたを泣かせる仕様の無い男に文句を言いに行っていただけ。だから、私を嫌いにならないで。」
ロビンはサンジに扉を壊される前に生やした腕で部屋の鍵をパチリと開けて、部屋に入れるようにした。すぐにサンジが部屋に飛び込んだが、その後ろにロビンの本体もついてきた。
「ロビン!?そんな、嫌ってなんか....」
「それと、その上着は脱いで。私嫌なの。あなたが他の男の服を着ているなんて。」
「嫌って!?あん、ちょっとろび、何すん...」
ゾロとサンジの前で、3人の美女が組んず解れつして、ナミから上着を取り去ってしまった。
ナミの乱れた姿に、サンジが鼻血を垂らす。
ゾロにはロビンの手が、剥ぎ取った服をぽいっとゴミのように投げつけてきた。
「さあ、こんな人たちは置いてお部屋に帰りましょ。大丈夫。私があなたを傷つけるもの全てから守ってあげる。」
ロビンの迫力に、誰も異議を唱えることは出来なかった。
次の日、いつもより熟睡できた朝に、ナミは違和感を感じた。
目の前におっきなおっぱいがある。
薄いキャミソールを着た温かいその体に抱きついていることにも気づいた。
ここは自分のベッドのはずだけど。
「....ろ、ろろろロビンっ!?」
「あら、おはよう」
よく眠れた?とロビンが聞くので、体を起こしたナミは、まあ...と答えた。
「なんで私のベッドにいるの?」
「あら、あなたが誘ったのよ。寂しいって言うから、ちゃんと許可は得たわ?」
誘った?許可!?
ナミが混乱していると、自分の格好がおかしいことにも気づく。
「!?わ!?私!?なんで裸なの!?!?」
「あらあら、私の口からそれを言わせる気?」
「え...!?え....!?」
私何したの....!?
うろたえるナミにも動じずににこにことロビンが笑っているので、ナミは持ち前の洞察力を発揮して推測した。
「....ロビン、からかったわね。大方、飲み過ぎて私これ自分で脱いだんだわ。」
「ご明察よ。ただあなたがベッドに誘ったのは本当だけど。」
ロビンはいつも体を動かさずに着替えを取る。
ナミは安心して頭の後ろで腕を組んだ。
「あーあ、もう、気が抜けちゃった。ごめんね、昨日は遅くまで付き合わせちゃったわよね。」
「いいのよ。誤解も解けたみたいだし。」
でも、とロビンは着替えながら言った。
「他の人とするくらいなら私を誘ってくれてもいいのよ?」
「ななな何言ってるのロビンっ!」
「だって、裸でベッドに誘うなんて、男なら何をされても文句は言えないんじゃないかしら。だから、次は私がまんしないから。そのつもりで。」
「もう!ロビン!」
またからかって、と言うナミの言葉を背中で聞いて、ロビンは部屋を後にした。
このままナミの裸を見ていると、本当にどうにかなってしまいそうだったので。
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