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□25.モンキー・D・ルフィの生態
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25.モンキー・D・ルフィの生態










「る、ルフィ、どうしたの?離して....」

「ダメだ。おれがおまえに怒ることは滅多にねェけど、ひとつだけ、絶対に許せねェことがある。」



ルフィはナミの腕を痛いほどに掴んで、ナミの顔が歪むのも気にせず、その肌を露わにした。
まるで荒々しく抱かれるのかと思うほど、乱暴に服を剥がれて右肩を見られた。

前合わせのボタンが弾け飛んで下着が露わになったが、ルフィの視線はナミの肩に付けられた傷だけに注がれた。


「なんでこんな無茶した。」

「だって...みんな昨日の嵐で寝てなくて、苦戦してたでしょ」


そこそこに腕に覚えのある海賊が攻めて来て、全員が応戦した。
ローの船とはカイドウ討伐以降別れていて、もう何日も会うこともない。

「おまえが怪我すんのだけは...嫌なんだ。たいていのことは、おれは許せる。でも、おまえが傷つくのだけは....」

ナミはルフィの迫力に、もはや、恐怖を感じていた。
掴まれる腕が痛い。
こんなに怒っているルフィを、初めて見た。

恐い。
心臓が早鐘を打つ。
恐いのに、ドキドキしている自分がいる。
ーーその愛の深さに。


「絶対に許せねェ。」


ナミはルフィの目を良く見た。
そしてわかってしまった。
ルフィは、自分に怒っているのだ。

私を守れなかったと思っている自分に。

「ルフィ、わたし、大丈夫よ。大したことないわ、こんな傷。すぐ治るわよ。」

「それは関係ねぇんだよ。」


例えナミが選ぶのなら、他のどんな男を選ぼうと、許すことができるのに。


ナミの存在が危ぶまれること。
それだけは、受け入れることも、耐えることもできなかった。

ルフィはそういう男だった。



ナミは嬉しかった。

ルフィの愛を目の当たりにした気がした。


「関係ねぇんだよ、こんなんじゃ、おれはいつまでたっても」



海に、勝てない。




今までで一番辛そうな顔をしたルフィに、ナミは思わずその頬に触れた。

そして本当に、思わず、唇を寄せた。

ルフィのそんな顔を、見たくなかった。

笑って欲しかった。

優しく唇にキスをして、大丈夫だよと伝わることを願った。
あなたをそのように辛くさせることなんて、何もないと。





物置きの小さな部屋で、二人は恋人になった。

自分の上で息を荒くするルフィに、ナミはハグを求めて両手を差し出す。
何も着ていない肌と肌が触れ合って、意外にルフィの体がゴツゴツしていて、驚いた。
硬い黒髪を撫でて、つながったまま、笑った。
初めてにしては上出来で、何度も絶頂を迎えたことは内緒で。


「...あんたは、確かに私に怒らないわね。」

「うん。」

「例え何しても、怒らないんだわ。私が怠けても、他の男とこういうことをしても、あんたのおかずをちょっとつまみ食いしても。」

「それは怒ると思うぞ。」

「それはそうね。」

くすくすとナミが笑うと、つながった部分が震えて何とも言えない気分になることを、ルフィは黙っていた。


「あんたは、海みたいね。」


ナミのデコルテに頭を預けたルフィは、目を見開いた。


「海みたいに広くて深いわ。だからこんな風に思うのかしら。」


好きでも、大好きでもない。
愛していると。


ルフィは頭を起こしてナミを見た。
顔が近くて、瞳に映る自分すら見える。


「....おまえは、おれの欲しい言葉をくれるんだな。」




海に勝とうとしていた。


なのに、海のようだと言われることは、自分の心を、一番深いところを、どうしようもなく軽くして、自由にした。

また、ナミになりたいものへ導かれるような、そんな気が。


「おまえ以外いらない。おまえがもっと欲しい。おまえがいれば、おれは」



世界で一番、自由になれる。



「あっ、ルフィ、動いちゃ、だめ...っ!」

「ナミ.....っ!!」


死ぬまで、おれのそばにいてくれ。








言葉なんて、要らない。

ただ海よりも深い愛は、相手の目にちゃんと映るから。













End

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