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□聖なる夜にDN
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聖なる夜にDN







ドフラミンゴの場合





これは神の思し召しか。

ハロウィンの晩に会ったのが初めだった。

ドフラミンゴはナミが目の前にいることを確認して直ぐさま糸を引いた。

「...!?何!?」

店先でウインドウショッピングを楽しんでいた女は勝手に動き出す自分の体に恐怖を覚える。
これ以上ないほど目を見開いたまま歩くので一見すると不審だ。
角を直角に曲がると、鼻先がピンクの羽のコートで潰れそうになった。
ぶっ、と変な声が出るともっと変な声がどこからか聞こえた。

「なんダァ〜?ドフィ、何してる」

「トレーボル、ちょっとおもちゃを見つけただけだ。」

幹部はいつも側にいて内政にも口を出すが、ドフラミンゴの女遊びに干渉したことはない。

ナミはピンク一面で塞がれた視界からなんとか脱する。

「な、な、な、なに...!?あんた、ど、ドフラミンゴ...!!」

ハロウィンの時命からがら逃げ出せたところなのに、諸島の多いこの地域に迷い込んで上陸したことをナミは後悔した。
ログを書き換えるほどの磁力もないと言うこの諸島で、村にちょっと色が付いたような町にほのぼのと滞在していたのに。

「今度この土地にも事業を行うのさ。土地の特徴を生かし、ビジネスを広げる...当然だろう。ナァ、泥棒猫」

「...そう、良かったわね。成功を祈ってるわ。じゃあ私はこれで」

「お前、今日が何の日か知らないのか?」

「クリスマスイブ?あんたのよーな奴にもそれなんか関係あんの?離して」

「あるさ。俺はクリスチャンだぜ。」

ドフラミンゴはナミに腕を組ませた。
部下はいつの間にかいなくなっている。

「クリスマスはクリスチャンの為のものだと思わないか?なぁ?」

カツカツと靴を鳴らして歩くのに、ナミは早歩きでついていった。もちろん随意の運動ではない。
腕を組むと、その身長の高さで手をつないでいるようになる。
それだって、ごつごつしていてその大きさに驚く。

「どうかしら。現代では子供のお祭りの意味合いも強いんじゃ...」

少し考えてナミが言う。

「じゃああんたも捧げるの。黄金と、没薬と」

「乳香か?またかまをかけてやがるのか。」

だって、クリスチャンだなんて。
闇の密売人が、聞いて呆れる。

「これで信じて頂けるのかい。疑い深いお嬢さんは。」

「だからって、なんで私があんたとこうして歩かなきゃならないのよ!」

恋人のように腕を組み、頭を男に預けて歩いていた。
クリスマスイブに、それはそれは幸せそうなバカップル。



「...?お前、ハロウィンの日のことを忘れたのか?」

「...なに?あの1ベリーにもならなかった日のこと。」

「お前あの時盗んだろう。」

「...バニーガールの衣装ならそのまま着て帰っちゃったわ。」

「違う、バカ。」

ドフラミンゴは自らの手でナミの顎を上に上げた。

「俺はお前が欲しい。だからこの夜お前も全てを俺に捧げるべきだ。」

「バカじゃないの?」

ナミは男を睨んだ。

「言ったじゃない。たくさんいる慰み者になる気はないって。」

「なんだ、嫉妬か?」


ドフラミンゴはふむ、と考える。

「嫉妬だ妬みだと低俗なことをする女に今まで興味もなかったが、お前はまだ若いから仕方ねェのか。いや、その趣向も悪くない。」

「いやいや違う違う違う!」

操られていなければ手をぶんぶんと横に振りたかったが、それもできない。
腕は男に絡みついて胸も密着している。

ドフラミンゴは思いついた。
小さい頃、ベッドの上に大きな靴下を吊るしたことを。

柄にもなく、クリスマスにわくわくした。
そんな気持ちをまたもう一度、味わうことができるとは。


ドフラミンゴはニヤニヤと笑ってナミを引きずるようにして歩いた。
自然と足早になる。

欲しいものがもう手中にあるからだった。

後は明日の朝に、この猫の心まで頂くことができるのを待つだけ。


ーーイヤイヤ!何その計画!!

こっちの気持ちは丸無視なの!?
とナミは引きずられて行く。

年の割には子供のように自分勝手な男に、お忍びで来るような素敵な宿に放り込まれて、ナミは絶句した。

子供に弱いのだ。
ナミは。

子供のまま年を取った大人の無邪気な愛情に、陥落するまであと数時間。









Who's next?






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