夢100 創作

□吸血姫@
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社会人になり雇用契約してから初めて現場入りのシェミを襲ったのは、抗えない本能

……あれが欲しい

「シーン17、音響、カメラ共に撮影可能です!」

「…………」

“あの人”が欲しくて体が戦慄く。
紫色の髪に翡翠色の瞳、初めて見たその人に一目で心奪われた。

「……あ、の…人は?」

「あ?お前あってなかったっけ?
あいつはウィル・ビートン、映画監督でこの国の…」

「…………」

「おい!?」

教育係の後ろの男が何か言っているが全く耳に入らない。
あの人に近寄ろうも歩みを進めたが腕を掴まれて私は無意識にその腕を振り払った。
すると拘束がなくなり、それと同時にガシャンと騒音が響き渡る。
そして唐突に辺りが静まった。

「……?」

“あの人”がこちらを向いた。
その瞬間シェミはあまりの衝動に呼吸をすることも忘れた。
そして誰にも言えない秘密がシェミを占拠する。

「見つけたわ」

「え」

「私の僕」

その言葉はあまりに常人離れしていて周囲の人間も、その言葉を向けられたあの人も、言葉を失ったようだった。

「………………下僕?」

ようやく意味を飲み込めたのか彼はそう呟くとシェミを見た。

「おまえ、頭おかしいんじゃねぇの?」

「…………」

後から先程の男が罵声を浴びせてくる。
どうやら振り払った拍子に倒れこみ、資材で頭を切ったらしく血が出ている。
しかしそんなことはどうでもよく、ただシェミはあの人が欲しかった。

「る、るか……血…………が……」

その言葉のあと突然倒れ込んだその人は周囲の人間によってどこかに運ばれていく。
彼が見えなくなるとシェミを呑み込んでいた衝動も姿を消し、シェミはその場にしゃがみ込んだ。
そして今シェミは、警備員に捕えられ1人牢獄の中にいる。
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