蒼い炎(もしも)(完結)

□第十話
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藍side

今日も綺麗だなぁ〜

船の甲板に出て昇り始めた朝陽を眺める

まだ暗い空が少しずつ明るくなってくるこの光景が好きだった

暗闇を少しずつ明るくしてくれる朝陽・・・

水平線を眺めながら朝陽を眺めていると・・・

蒼い炎が見えた

そう言えば今日帰って来るって言ってたけど・・・

こんなに朝早く帰って来るなんて思わなかったなぁ〜〜

そんな事を考えていると、その青い炎が少しずつ近づいてきて、目の前で人へと変わった

「お帰り。マルコ」

次に上陸する予定の島を先に見てくると言って船を離れたのは数日前

その時初めてマルコが蒼い不死鳥になる姿を見た

向こうの世界にいるときに小さいマルコから話しは聞いていたけど、実際に目にすると驚いたなぁ

綺麗な蒼い炎を纏った不死鳥

「ただいま。藍。相変わらず早いねい」

そう言いながら私の頭を撫でる大きな手

「ここから見る朝陽が好きなんだよ」

向こうの世界にいた時は朝陽に興味を持った事はなかった

朝陽がこんなに綺麗だなんて思った事がなかったんだ

いつまででこっちにいる事が出来るのか分からない・・・

だから毎日見ていたいと・・・


そう思っている






その後、マルコは先に白ひげさんに報告に行くと言い、私はいつものようにニュースクーから新聞を買って朝食を食べる為に食堂へと向かった



既に起きて来ていた鈴やエースの隣に座り朝食を食べ終わり、食後のコーヒーを飲んでいる所にマルコがやって来た

他のクルー達からお帰りと声を掛けられながら私達の方へと向かってきた

「もう、白ひげさんへの報告は終わったの?」

「よい」

「マルコお帰り〜。藍は知ってたの?マルコが帰ってきている事」


食事中に寝てしまったエースの隣の鈴が不思議そうにしている


「さっき、甲板で会ったんだよ」


「ふ〜〜ん」

聞いて来たわりには興味なさそうだな・・・


「なに、藍ちゃん、また甲板で朝陽を見てたの?」


仕事がひと段落したのであろうサッチが自分の分の朝食を持ちながら話しかけてきた


「サッチ、今日も美味しかったよ。ありがとう」

ホント、サッチの作るご飯はいつも美味しいんだよね〜〜


「・・・おい、何無理やり間に入ろうとしてるんだよいっ!あっちに行けよい」


何やらマルコと私の間に椅子を持ってきて無理やり間に座ろうとしているサッチ・・・

せ・・・狭い

「・・・・サッチ、ここ座って良いよ。私が向かい側に行くから」


このままじゃ落ち着かないし・・・

それにしてもそんなにマルコの隣に座りたかったんだね〜

今まで気が付かなくて悪かったかも・・・


「えっ、藍ちゃんっ、ちょっ・・・」

せっかく席を譲ってあげたのにサッチは何やら焦ってるし、マルコに至っては不機嫌顔


鈴は面白そうに笑ってるし、エースはまだ朝食に顔を突っ込んだまま寝てる・・・


みんな自由だなぁ〜〜



「藍、明日の朝には島に着くから上陸の準備しておけよい」

「降りても良いの?」

この船に来てから初めての島だ

「比較的治安も良かったからねい。鈴と一緒にいるものを買いに行くよい」

身一つでこっちに来ちゃったから今まではナースさん達から色々借りたり、もらったりしていた


「・・・まさか、お前がついて行く気か?マルコ」

「当たり前だろう。2人で行かせるわけないだろい」


私達も2人だけで行く勇気はないよ・・・


「・・・俺も行く」

「エースを連れて行くから必要ないよい」

何だか2人が険悪だ・・・

隣に座りたがるほど仲が良かったり、今みたいにちょっとピリピリしたり・・・

不思議な2人だなぁ〜

「別に俺も一緒に行っても問題ないだろ?なぁ藍ちゃん♪」


おっと、急に話が振られて驚いた


「あ、うん」

別に断る理由はないよね?


「じゃあ、決まりだなっ!明日楽しみだなぁ〜」


サッチが急にご機嫌になった

良く分からないけど、サッチが嬉しいなら良いかぁ〜


「じゃあ、私戻るね。鈴はどうする?」


「私も一度部屋に戻る〜」


じゃあね・・・鈴はエースを起こし2人を残して戻った














その頃食堂にて・・・


「さて、俺も片づけをしねーとなぁー」

キッチンへ戻ろうとするサッチへ


「サッチ、藍達には帰る場所がある事を忘れるなよい。あんまり本気になるなよい」



それだけを言ってサッチの返事も聞かずにマルコも仕事をするために自室へと戻った









「・・・・そんな事分かってるよ」

誰が聞いているわけでもなく、サッチは独りで呟いていた





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