蒼い炎(もしも)(完結)

□第九話
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藍side


急に天候が悪くなった、船が大きく揺れ、雷が鳴り始めた・・・


ゴロゴロとあの嫌な音が鳴り続けている


聞きたくなくて、昼から籠っていた書庫で耳を塞いでうずくまっていた時に、人の気配がした・・・



顔を上げると・・・


サッチ?!


何で、いつもこんな所に来ないのに・・・


その時ハッとした


自分の姿を思い出したからだ。

耳を塞いでソファの上で丸くなっている自分の姿・・・


慌てて平静を装ってサッチに声をかけると、本を読みに来たと・・・


でも、ダメとも言えない・・・


書庫は私の部屋じゃないし・・・


どうしようっ・・・

そう思っている間もゴロゴロと外から雷の音がする

耳を塞いでしまいたいのに、サッチがいるとそれが出来ない・・・


サッチが隣に座って来た・・・


そんなに大きくないソファ


肩が触れるか触れないかの距離・・・


本を手に持って読んでいるが頭に入ってこない・・・


入ってくるのは雷の音ばかり・・・


サッチ・・・

早く出て行ってくれないかな・・・

私が出ていけば良いだけかもしれないが、実は雷の音が怖くて動けない・・・



どうしよう・・・と考えていると・・・





ゴロゴロゴロッ ガシャーンっ!!!ドドーーーン!!!!


「っキャァーーーーっ!!!」





ムリムリムリムリ


もうっ

ヤダヤダヤダ



「おぅ〜今のは凄かったなぁ〜〜」


なになになにっ

なんでそんなに余裕なのよっ

サッチのばかぁ


耳を塞いでサッチを睨むが・・・



「ったく、そんなに怖いなら、もっと早く言えば良いのになぁ〜。我慢するからだよ」


ほらっと言ってサッチに抱き締められ、サッチがポンポンと背中を撫でてくれる


そして、耳にはサッチの心臓の音が聞こえてくる

「ほら、怖くない、怖くない」


子供に言い聞かせるように優しく背中を撫でてくれるサッチ


せっかく我慢してたのにっ


涙を隠すようにサッチの背中に腕を回してしがみ付いた




どれくらいそうしていただろうか・・・


いつの間にか船の揺れも収まり、雷も収まっていた


サッチはまだ私の背中を撫でてくれている


恐る恐る顔を上げると・・・


優しい顔のサッチ・・・

時々こういう顔で私を見てくれるよね・・・


ホッとする・・・



「ごめん・・・サッチ・・・」


クシャクシャと頭を撫でてくれる・・・


「ったく、我慢し過ぎ(笑)」


そんな事はないと思うけど・・・


「藍ちゃんはもうちょっと我儘になった方が良いよ。もっと甘えてくれれば良いのになぁ〜」


わがまま・・・

あまえる・・・


「だって・・・どうしたら良いか分からない・・・」


しっかりしないと・・・と思って生きて来た


「何も考えずに思った事を言ってみてよ。取り敢えず今して欲しい事はある?」


今?

えっと・・・

でも・・・

サッチを見上げてみると、私の言葉を優しい顔で待っていてくれている・・・


言っても良いのかな・・・



「あの・・・ね・・・。もうちょっと・・・ぎゅっってして?」



恥ずかしいっ

でも・・・サッチの腕の中は気持ちが良い・・・


落ち着くんだもん・・・


あれ?

サッチが固まった?




「(可愛いっ〜〜〜〜〜)良いよ」



固まったと思ったのは一瞬で、サッチは笑顔でそっと私を抱きしめてくれた





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