蒼い炎(もしも)(完結)

□第十話
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サッチside


「藍、これは?」

「可愛いよ。鈴に似合ってる」


女の子が2人で買い物をする姿は微笑ましく、可愛い

可愛いのだが・・・


身一つでこっちの世界に来たという藍ちゃん達の買い物に来ていた


エースはともかく、マルコが一緒っていうのが気に入らない

が・・・

それよりも・・・


「藍ちゃんは、これだけで良いの?」

店に入る早々、藍ちゃんは最低限必要な洋服を自分で決めた

その時間5分弱・・・


枚数も少ない上に・・・


「藍ちゃん・・・スカートも買わない?」

「それで充分、スカートは買わない。マルコ、しれっとスカートを混ぜないでよっ」

「・・・よい」

マルコも撃沈した・・・


そう、藍ちゃんが選んだ洋服はどれもシンプルなデザインの物

そのうえ全てパンツルック・・・


スタイル良いのに勿体ない


そんな藍ちゃんは鈴ちゃんに可愛い洋服を勧めている


仕方がない・・・


「マルコ・・・俺はこれが良いと思う」

俺はレースが綺麗な濃い緑色のミニワンピースとそれに合う靴をこっそりマルコに渡し


マルコは
「イヤ、こっちの方が・・・」

ブルーのひざ丈のフレアワンピースを持って来た


会計をするのはマルコだ

こっそり会計の時に藍ちゃんの荷物に混ぜておこうという算段だった(笑)


鈴ちゃんの洋服も決まったようで・・・



「じゃあ、藍ちゃん、鈴ちゃん、マルコが会計してる間外で待ってようか♪」


後はマルコにまかせようと2人を連れて外に出た

エースは荷物を受け取る為に中に残らせた


3人で話しながら外で待っていると






「うわーん」

聞こえてきたのは

「子供の泣き声?」

それに・・・



「いってーなっ。どこ見て歩いてるんだよ!」


どうやら子供がガラの悪い連中にぶつかったようだ


ぶつかった子供はそのまま転んで泣き出し、その子より少し大きい子供達が小さな子供を庇うようにしている


ったく、大人気ないなぁ〜

どうせ痛くもないくせ


正直、俺も海賊だし人助けをする道理はないけど、あんな小さな子供を見捨てるのはなぁ〜

そう思って一歩踏み出そうとした時、俺の横を通り過ぎた影が何か一瞬気が付かなかった



「大丈夫?」

気が付いた時には藍ちゃんが転んだ子供の頭を撫でている所だった


「藍ちゃんっ!?」

驚いたのは俺だけでなく、子供達に絡んでいた男達もだった

しかし、その男達は目の前に現れた藍ちゃんを見るな否や下卑た笑いを浮かべた


「なんだ姉ちゃん、その餓鬼どもの保護者か?代わりに詫びでもしてくれるんだろうなぁ」


ほんと、最低な奴らだな・・・

自分の事を良いヤツだとは思ってはないが、あれほど酷くはない

そいつらの腕が藍ちゃんの肩に伸びそうになった所で俺はサーベルを抜こうとしたが・・・


「サッチ、大丈夫だよ〜」

鈴ちゃんに止められた

「はぁ!?どういう・・・」

どういう事だと言おうとしたが、最後まで言う事は叶わなかった


ダァァァンッ

藍ちゃんに手を伸ばそうとしていた男は気が付いたら地面に叩きつけられていた


「てめぇ!」

もう1人の男も藍ちゃんに襲い掛かろうとしたが・・・


「すげ・・・」

「ね、大丈夫って言ったでしょ〜」


もう一人の男は藍ちゃんに関節技をきめられて悶絶していた・・・

当の本人は無表情で・・・


「子供相手に大人気ない。このまま大人しく帰るか、肩の関節を外されるの・・・どっちが良い?」


こえぇ〜(笑)

そう言ってその男に体重をかけ、肩にかけていた関節技に更に力を入れると、男達はありきたりな捨て台詞を残して逃げ帰って行った



「はぁ、ちょっと目を離したすきに何やってるんだよい・・・」

「あっ、マルコにエース。う〜〜ん。あれはしょうがないよ〜〜。だって、子供が絡まれてたんだもん」

店から出て来たマルコとエースは呆れながらも仕方がないという諦め顔


「・・・もしかして、こういう事って向こうの世界でもあったのか?」

「よい・・・。危ないから止めろって言ってるんだけどねい・・・」

溜息をつくマルコだが・・・



「クククッ。ホント凄い子だな(笑)マルコ、手遅れだわ」


助けた子供達に笑顔を向ける藍ちゃんを見ながら・・・


「あんな、イイ女に本気にならないなんて出来ねーよ」


笑ってそう言った俺をマルコが少しだけ目を見開いて驚いたが、すぐに眉間にシワを寄せて


「はぁ・・・まぁ、別にお前が振られて傷ついても俺は気にしないよい」


「ちょっ、何で振られる事前提っ!?」


俺の抗議を無視してマルコは藍ちゃんの元へ歩みを進めた








最初から分かってたんだ

あの子を本気で好きにならずにはいられないと



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