緋い炎(完結)

□第十二話
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鈴side

「じゃあ、鈴、私達は先に行くね〜」

そう言ってマルコと2人で船を降り買い物に行った藍


私達がこの世界に来て初めての上陸

身一つでこの世界に来てしまった私達の生活用品を買いに行く事になっていた

藍と一緒に行くと思っていたのに、昨夜になって急に・・・

「あっ、鈴〜。明日はマルコと2人で買い物に行くから♪鈴の事はエースに任せてるから2人で行っておいで〜」

そう言い放った親友

エースと気まずいって言ったのに〜〜

エースとケンカ?したのは昨日

藍に相談すると気にしなくて良いって言ってくれたけど・・・






そして、現在甲板で独り・・・

エースを待つ

って言うか、来るのかな・・・

本当に嫌われてたらどうしよう・・・

独りで待っていると、だんだんネガティブになって来た

そんな時・・・

「悪い、遅くなった・・・」

エースの声がして顔を上げると・・・


「エース?」

エースが上着を着てるっ!!

貴重だっ!

いつも上半身をさらけ出しているエースが黒いシャツを羽織っていた

「(カッコいいっ!!)」

元々カッコいいんだけど、シャツを一枚羽織ってるだけでまた違って見えるっ!

前は開けてるから私の好きな胸筋と腹筋はちゃんと見えるしっ

あまりに私がエースを凝視するものだから・・・


「鈴?どうかしたか?」

エースが不審に思ったようだ

「えっ。あっ。ゴメン。珍しく上着を着てたから驚いちゃって・・・」


あれ?エースが普通だ・・・

昨日の怖さがない・・・


「あぁ、念のためな・・・マルコも前を閉めてただろ?」


そう言えば・・・


マルコもいつも胸筋と腹筋を惜しみなくさらけ出していた

それが今日は見えなくなっていた事を思い出した

「オヤジの印を見て逃げるヤツもいるけど、稀にケンカ売ってくるヤツもいるからな。1人の時やクルーと一緒の時ならどうにでも出来るけど、鈴が一緒の時に危ない目に合わせるわけには行かないしな」


そう言って笑ってくれた・・・

私の事を心配して自分の誇りであるタトゥーを隠してくれた

嬉しいっ

さっきまで沈んでいた気持ちが浮上していくのが分かる

エースの一言一言で気持ちが沈んだり浮かんだり・・・

ホントに私・・・

エースの事好きだな〜

エースに嫌われていてもやっぱり諦められないな・・・






「なぁ、鈴・・・嫌ってねーからな・・・」

ボソッとエースが呟いた言葉の意味がよく分からなかった

「・・・えっ?」


「だーかーらー、鈴の事、嫌いじゃねーって言ったんだよっ」


赤くした顔を隠すように前を向いてホラ行くぞっと私に手を差し伸べてくれるエース





嬉しい・・・

今は嫌われていないだけで十分・・・

いつか好きだと言ってもらえるように頑張るから・・・



「え〜、私はエースの事好きなのに〜〜♪」

いつものように好きだという私に呆れたような視線を向けるエースだけどその目の奥は優しい・・・












いつか・・・私を好きだと言ってね



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