声が枯れるまで〜貴方のために詠い続けよう〜(第二部)(完結)

□第一話
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マルコとランがモビーディック号に着いたのはその日の深夜だった

マルコは早く白ひげをランを引き合わせたくて飛び続けた


「ラン、あれがモビーディック号だよい」

眼下には巨大な海賊船モビーディック号

深夜という事もあり静まり返っていた

ランを迎えに行くにあたってマルコは今夜に限っては最低人数の見張り役のみを立て、更には白ひげ海賊団の中でも口が堅く、腕が立つ者だけにしていた

ランの存在を守るために

前もって準備を整えていたマルコだが、実際に着いて来てくれるかは半信半疑・・・というよりも難しいと考えていた


その予想に反して着いて来てくれたランだがここまでの道中、マルコと一言も話さない


モビーディック号に降り立ち、ランを背から降ろすマルコ

見張り役には目のみで会話をしランの事には触れさせない

そんなマルコの元に・・・


「マルコっ!!どこに行ってたんだっ!!!オヤジがっ・・・オヤジが・・・」


今にも泣きそうな顔してマルコの帰還を知り駆け寄って来たのは・・・


「エースッ!、オヤジがどうしたっ!」


「(あの人は・・・)」


エースの様子を見てただ事ではない・・・と顔を青くするマルコ

同時にランはエースに見覚えがある・・・と考えていた


「一緒に来てくれ」

マルコがランの手を引く

その様子にエースは・・・

「マルコっ、こんな時になんだよっ。そいつは」


頭から黒いマントを被り顔を隠しているランはエースにとって部外者・・・不審者でしかない


こんな大事な時にそんなヤツを招き入れるなんて・・・と


「いいんだよ。エース」


納得が行かないが、エースはこんな所で言い争っていてもなんにもならない・・・と船長室・・・


白ひげの元へと急いだ



扉を開けた途端降り注ぐ視線


マルコっ!!!と縋るような目線の男達


誰よりも屈強な男達の不安気な顔

その中心に横たわる呼吸も浅く、血の気もない顔をした大きな男


医者でなくとも分る


もう長くない・・・と


「オヤジっ!!連れて来たよいっ!頼むっ。目を開けてくれ」


ランの手を引っ張り白ひげの元へ連れて行くマルコ


その顔は明らかに焦りが膨れている


自分は遅かったかもしれない・・・と


焦って無理やりランの腕を引っ張っている事にも気付かない


マルコの強すぎる力で腕を掴まれたランは・・・


「・・・離して。痛い」


感情のない声を発した


その声を聞いてマルコの連れていた人物が女だと初めて気づき、マルコの連れていた人物が何者なのかその場にいた全員が気になった


「悪い・・・ラン」


名を呼ばれマントのフードを外したラン


「「あっ!!!!」」

声を出したのはエースと・・・


「(あの人・・・)」


ランに傷を治してもらった事があるサッチだった


「なんで君がここに?」


「サッチ、知ってるのかよい?」


「あ〜、ちょっと・・・な」


以前傷を治してもらった事は誰にも話していなかった


ランが誰にも言わないで欲しい・・・と言った言葉をサッチは守っていた

自分の命の恩人の言葉を守った

サッチやエースが驚く中・・・

「・・・ラン・・・か?」


その声にその場にいた全員が反応した


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