声が枯れるまで〜貴方のために詠い続けよう〜(第二部)(完結)

□第二話
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マルコside

ランがオヤジに触れ・・・

俺たちには聞き取る事が出来ない言葉を音に乗せて詠いだした

ランが触れている部分が薄っすらと光る

どれくらいそうしていただろうか

その間、俺たちは誰一人として口を開く事はなかった

ただ、ただその様子を眺めていただだけ

さっきまでランに対して嫌悪感を剥き出しにして咆えていたエースまでもが静かだった


どれくらいの時間が経っただろうか・・・


光が段々小さくなり・・・


ランの体が傾いた

ハッとしてランを支えようとしたのは俺だけでなく、エースとサッチ・・・


そして・・・ランを支えたのは・・・


「オヤジっ!!!???」

さっきまで瞳しか動かす事が出来なくなっていたオヤジだった


「無茶しやがって・・・マルコっ。部屋へ運べ。この事は誰一人口外するんじゃねーぞ」

声までがさっきまでとは全く違う

まだ体を起こす事は出来ないオヤジは片手で支えていたランを俺へ託そうとしたが・・・


「俺が運ぶ・・・」


ランを大事そうに抱えたのは・・・


「エース?」

「俺、バカだから良く分かんねーけどさ。こいつがオヤジを助けてくれたんだろ?俺・・・」


オヤジが少しではあるが動けるようになったこと、声をハッキリ出す事が出来る様になったこと


ランのおかげだというのは誰が見ても一目瞭然


船医やナース達も慌てて診察を行っている始末


俺を含む隊長達は誰もが安堵の表情を浮かべている


ついさっきまでは絶望しかなかった船に光が射しこんだ


それをもたらしたのは紛れもなくエースの腕の中にいる少女・・・ランのおかげだ


どういう方法なのかは分からないが・・・


エースもだからこそさっきまでの自分の言葉を後悔している


本当は俺が運んでやりたい所だが、エースに譲ってやるとするか・・・


「大事に抱えろよい」


「ああっ!」


明るく笑うエース

こいつのこんな笑顔は久しぶりだな・・・


何だかんだ末っ子が可愛い俺はエースを部屋へと案内した


今まではオヤジと俺、古株の船医、ナースしかしらなかった部屋へと・・・



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