声が枯れるまで〜貴方のために詠い続けよう〜(第二部)(完結)

□第五話
1ページ/2ページ

モビーディック号


船長室


・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・


無言

いや、ランの歌声のみが聞こえてくる


30分ほど歌い続けるラン


それを朝晩


一日二回


まだ治療を始めて1週間ほど


白ひげは少しずつ・・・


まだまだ完治までには先が長い


それでもあの日、本当にもうダメだと思った


あの日を考えると、会話が出来るようになり、短時間なら起き上がる事も出来るようになった


明らかに良くなってきていた


歌い終わったランは白ひげの顔を少し確認するだけだ


無言で席を立ち船医たちの元でカルテの確認をして治療について少しだけ会話をして船長室を出る


ランが出ていくと部屋にいた船医やナース達や張り詰めていた空気が和らいで体の力を抜くことが出来た



「もう少し何とかならないものかねい・・・」


マルコも毎回ランの治療には同席している


そんなマルコがぼやいたが・・・


ジロリ・・・


「・・・よい」


ランに睨まれて終わった


お手上げ・・・とマルコが余計な事は言うまい・・・と諦めた時・・・


「あっ、オヤジの治療終わった?ランちゃん、朝飯まだだろ〜。食堂おいで?」



手を差し伸べるのはサッチ


「・・・・・・・」

無言で睨むラン


「今日はランちゃんだけ特別メニュー。特製フレンチトーストだぞっ!」


睨まれても気にしないサッチ


特製フレンチトーストに僅かに反応を見せたラン


サッチはこの1週間、毎回部屋で1人で食事を取るランを気にしていた


それがこの船に乗る時にラン自身が出した条件だとしても・・・


ご飯は美味しく、楽しくをモットーのサッチ


美味しそうに食べるランを見る事が現在の目標にしている(笑)


「部屋で・・・「出来立ての方が美味しいよ〜」・・・・」



二人の会話を聞いているマルコの方が何故かハラハラ(笑)



眉間に皺を寄せ考えていたランだったが・・・


大きな溜息を吐いて・・・


「・・・・・・食堂行く」



この日、初めてモビーディックに用意されていた部屋と船長室以外の場所へランが足を運ぶ事になったのだった



_
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ