声が枯れるまで〜貴方のために詠い続けよう〜(第二部)(完結)

□第六話
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相変わらず気まずい白ひげの治療時間


白ひげとランが話をする事はない


ずっと無言


その雰囲気の中、口を開く勇気が在る者は誰もいない


治療が終わればさっさと船長室を出ていくラン

それをマルコが追いかける


「ねぇ、別に1人で部屋に戻れるわよ」

診察後、必ずマルコはランを部屋まで送る

船長室とランに与えられている部屋はかなりの近距離

それでもマルコは必ずランに付いていた


見張っている・・・と言うわけではなく、ランを心配しての事だった


「気にするなよい」


特に余計な事を言うわけではないマルコが付いてくる事に特に不満はないランであったが・・・


「・・・不死鳥、忙しいんでしょ?」


白ひげ海賊団のNO2・右腕ともいわれているマルコが忙しい事はランも容易に想像できた


それに・・・


「顔が疲れてるわよ」


ランの手がマルコの頬に触れる


少し冷たいその手にマルコはビクッと反応してしまった


ランがそのまま詠うと・・・


「・・・楽になったよい」


さっきまで重かった目や頭が軽くなっていた


ランが能力を使ったのだ


「大丈夫なのかい?」


能力は万能でなく体に負担がかかる事は聞いていたマルコは心配した


「これくらい問題ないわ、それより、そんなに無理して私に付いてなくて良いわよ。基本的に部屋から出ないんだし」


「別に無理してないよい」

そもそも本人が望んで部屋にこもっているとはいえ、マルコ達はそんな事を望んでいない


少しは外に出ないと体にも悪いだろうし・・・とマルコは考えた


「ラン、クルーが少ない時間、少ない場所に甲板に出てみないかい?出来るだけ人払いもするよい」


ずっと部屋と船長室の短い距離の往復


一度だけ顔を出した食堂にもエースとの事があって以来また部屋で食事を取るようになっていた


そのため、ランの食事もマルコが運ぶし、不便がないように、退屈しないように部屋に本を持って行ったり、滅多にない事だが、話し相手になったり・・・とマルコはランを中心に動いているのだった


ランもこれに気付き、さすがに・・・と思っているが、現時点この船で比較的気軽に接することが出来るのはマルコのみ


部屋から出ないとは言え、食事を運んでくれたり、本をたくさん持ってきてくれる事には感謝していた


だからこそマルコを癒したのだ




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