声が枯れるまで〜貴方のために詠い続けよう〜(第二部)(完結)

□第八話
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マルコside


今日もいつものようにランがオヤジの治療中


いつものようにこの部屋は無言・・・


ではなく・・・


「なぁなぁ、ラン、良いだろう。一緒に朝飯食おうっ!」


ランが甲板に出る日、どうしても都合が付かなくなった俺の代わりにエースが付くことになった


本当はサッチかイゾウあたりを考えていたがエースがどうしても・・・と


結局、末っ子可愛さと本人も反省してるからという言葉を信じてエースに任せたが、それ以来、何故かエースがランに懐いた



ランが怒らないか見てる方はハラハラしていたが・・・


「煩い、エース、もう少しで終わるから外で待ってて」


待っていたら一緒に食うって事か!!??


「分かった、腹減ったから早くな!?」


そう言ったエースに向かってランは・・・


「仕方ないなぁ〜」


「・・・ランが笑った」

エースが驚いて口にしたが、俺も驚いている


「ランが笑ったの初めて見たっ!」

「・・・私だって笑うくらいするわよ・・・私を何だと思ってるの・・・」


今日は珍しい事があるものだ

少し拗ねたような顔をランが見せた


「ランは笑った方が可愛いなっ!」


エースが屈託のない笑顔を見せて部屋の外へ出て行ったが、ランはちょっと気まずそうにオヤジの治療を無言で続けた




似た境遇の二人は気が合うのかもしれない



あの時エースを付かせたのは結果良かったのかもな


本人には怒られるだろうから言わないが、実は妹のように可愛いと思っているラン


ずっと・・・


ずっと・・・


オヤジと俺はランを探していた



この船にずっと乗ってほしい・・・とは言わないが、この船にいる間は自由に、安全に過ごしてくれる事を俺は願う




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