声が枯れるまで〜貴方のために詠い続けよう〜(第二部)(完結)

□第九話
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マルコside


少し遅れて食堂に行くとランの姿

ランがクルーの少ない時間帯を見計らってくることを知っているから俺もその時間に合わせる


最初はずっとランに付いていたが、最近はランも色々な意味で慣れてきたようだったから少しずつラン1人で動ける時間を作るようにしてやった


と言っても、船長室、自室、食堂に行く間だけだが・・・


いつも俺が付きまとっても窮屈だろうしね


だから最近はランに最初に会う場所が食堂だ


そんなランに挨拶を済ませると・・・



「ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」


珍しい



「なんだい?座って聞くよ?」


サッチにコーヒーを二人分持って来させる


「二人分って言ったんだけどねい・・・」


四人分持ってきやがった・・・


「ん?俺たちがいたら不味い?」

エースとサッチもちゃっかり同席


ランを見る


「まぁ・・・別に良いんだけど」


ランが良いというなら俺に異論はない


「で?聞きたい事ってなんだよい?」


「あの、私の使っている部屋、誰の部屋なの?ナース長が以前から私の部屋だって・・・」


あ〜、そういう事か・・・

エースとサッチもどういうこと?と騒いでいるがそいつは無視だ


オヤジからは口止めされているんだけどねい・・・


ナース長も中途半端にしゃべったもんだ・・・


どうせ後は俺に押し付けるつもりだろう


以前のランには絶対に話せなかったが、少しずつ柔らかくなっているラン


エースとも打ち解けているみたいだし・・・


話してみるかねい・・・



「・・・・ナース長の言う通り、あの部屋は以前からランのために用意してあった部屋だよい」


「・・・どういう事なの?」


「・・・・・・・・・・俺は・・・俺とオヤジは、ずっとお前を探してたんだ・・・いつランがこの船に来ていいように準備してた。あの部屋のものは俺とナース長が用意した。ランの成長を想像して毎年買い替えている・・・」


話していくうちにランの表情が曇る


まだ早かったか



「な・・・にそれ・・・。ずっと・・・っていつ?」



「お前の母親が死んでからだ・・・」



そう言った瞬間ランが食堂を飛びだした



「ランっ!!!!」
「ランちゃんっ!?」


はぁ・・・やっぱりまだ言うべきじゃなかったか・・・


「エース、追え、ランを1人にするんじゃないよい」


俺の言葉を聞くまでもなくエースも食堂を飛び出していた



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