百花繚乱〜恋せよ乙女〜
□牡丹の君_06
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「お頭、牡丹は?」
宴の翌日
昼を少し過ぎた頃
甲板で上陸準備をしていたベンは目の前に現れたシャンクスにそう声をかけた
「医務室で待たせてある。どうだ?問題なさそうか?」
「あぁ、問題ない」
物資の補給を兼ねた上陸
クルー達に分担するようにベンが指示を出し終えた所だった
比較的治安も良く牡丹を連れて降りるにはちょうど良い島
もちろん何かあっても牡丹1人くらいシャンクスが付いていれば守ることは簡単ではあるが危ない目に会わせないに越したことはない
そんな話をベンとしていたシャンクスの前にヤソップやルゥといった幹部たちが現れた
その開口一番は・・・
「お頭、牡丹は?」
その言葉にシャンクスは苦笑い
どうやらヤソップ達も牡丹を気に入ったようだ
「牡丹なら医務室で待たせてある」
「そうか、上陸して牡丹が楽しめると良いな」
ヤソップの言葉に全員が頷いた
ヤソップ達が牡丹気に掛けるんは気に入った・・・という感情以外に、同情が含まれている
昨夜の宴でシャンクス達は牡丹が望まない結婚をする予定だった事を知った
牡丹の世界で一番裕福な人物
某国の国王で多妻、50人を超える妻があり、御年60歳
牡丹の父親はこの事で莫大なお金とその国にしかないエネルギー資源の取引の独占権を得た
牡丹は売られたも同然
それ以外にも生まれた時から父親の思い通りに生きる事しかできなかった事など聞けば聞くほど牡丹は自由が一切なかった
シャンクス達海賊からしてみれば苦痛しかないような生活を牡丹は送っていた
話の途中でドクターから止められ牡丹は医務室へと戻されたが、かなり複雑な家庭で育だった事は容易に想像できた
誰もが同情し、大人びた少女が自由を手に入れる事出来るように・・・と心優しい海賊団は誰もが思っていた・・・・
そして、上陸後・・・
まだ靴を持たない牡丹はシャンクスに抱えらえたまま
最初こそ申し訳なさと恥ずかしさで下を向いていた牡丹だったが次第に顔を上げ、キョロキョロと周囲を見回す
その目はキラキラと輝いていた
「何か珍しいものでもあるのか?」
シャンクスと牡丹の後ろから付いてきていたベンとドクター
声をかけたのはベンだった
「全てです・・・何もかもが珍しくて・・・」
嬉しそうにそう話す牡丹を見てシャンクスは歩く速度を落とした
それに気づいた牡丹はシャンクスへと微笑む
シャンクスの気遣いに牡丹は胸が温かくなった
街が・・・この世界が珍しいのは確かだが、更に言ってしまえば自分の事を知る者がいない世界
訳あって命を狙われたり、誘拐される恐れが多々あった牡丹はこうやって自由に街を歩く事はほとんどなかった
車の中から見る景色ではなく歩く速度で見る景色が牡丹には新鮮で嬉しかった
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