B


□に
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結果的に褒めてくれたのは景さんである。
明らかな子供扱いのようではあるけど景さんに頭を撫でられるのは嫌いじゃない、むしろ大好きだ。

「私だって最初は笑いそうになったけど……なんかもう笑い通り越して呆れだよ」

遠い目をしてそう言い放ってた。
そうか、指導者からするとそんなものなのかな。

「いや、指導者っていうか……何だろうなぁ」

近年の若者の人間離れ?

「ブフォwww」




つい先程、久しぶりに会った景さんを交えて三人で見るその先は中学生の集団。
ちなみにさっき景さんから、あの集団の正体を教えてもらったが理解できない。

「……あのテニスラケットの上にボール乗っけてる奴ら、綺麗にピラミッドになってるけどよぉ……あれわざわざ手で乗せたんか?」

さっきからボーっとその中学生らの方を見ていた旭が少し眉間にしわを寄せて言うものだから俺は疲れた表情筋を再度震わせた。

なんなのこの二人。二人して俺の腹筋と表情筋を殺しにかかってくる。




落ち着いたところで景さんが始めようか、と言った直後のことだった。

「ゴラァーックソガキ共っ‼」

高校生の一人がチンピラの如く叫んで、一人で数個も持っていることに文句を言ったが中学生に煽り返された。

『ボールを取れなかった方々は監督の意向通り速やかに帰宅しなさい!以上です』

スピーカーからそんな放送が流れた。

「そんなこと言っときながら裏で練習させる癖にねぇ…」

それを聞いた景さんがため息混じりに小さい声で言う。

「監督も何だかんだで甘いとこあるよね」

「「確かに」」

親友と声が被った。


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