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□one
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口の中でバリバリとゴマ醤油せんべいが咀嚼される音が響く。
私はせんべいはゴマ醤油が一番好きだ。
何でか、と言われるとゴマの風味と醤油の味が大好きだからである。
何枚もせんべいを食べていると指にもそのいい匂いと味がつく。
それをペロリと舐めるのも庶民的でなんだか好きだ。
さっきまでは浮竹隊長も第三席の二人もいた縁側は、今や自分一人だ。
ぼっちでせんべいを食べるのは何となく寂しい。
けどまあ、気は楽である。
元来人付き合いは苦手、というかあまり好きな方じゃなかったが如何せん自分が所属しているここの隊長はあの浮竹隊長だ。
生前のうちのおばあちゃんによく似ていて世話をよく焼く。
ちょっと、余計なお世話だなとは思うが完璧に振り切る、というのは心苦しい。
自分にだって良心は一応あるから。
一応。
「ふあぁ……ん?」
欠伸をしたそのとき、感じ慣れた朽木隊長と浮竹隊長の霊圧の近くに、知らない、物凄く荒削りな霊圧を感じた。
ここからはそれなりに遠いところだ。
噂の旅禍か?
何故だか、数日前から旅禍が瀞霊廷内を巡っている。
タイミングを考えて、朽木ルキア関係なのだろうが。
これまた何故か、霊圧譲渡だかの問題で彼女は極刑を受けるようで。
てか、彼女は貴族の朽木家の人間だからかなり真面目な人間で、そんな彼女が霊圧譲渡とはただならぬ理由かなにかあるはずだろう。
理由も聞かず、有無をも言わさずしたことだけにただ極刑、という結果を言い放つなんで四十六室は頭が固過ぎじゃないのか。
口のなかで今噛み砕いているせんべいを最後にし、残りの入ったせんべいの袋の口を閉める。
バリバリ、ボリボリ
これからどうしたものか。ボヤーっとそう思いながら青空を眺めた。
旅禍を確保するのが今の主な業務なのだろうが、如何せん怠い。
特に理由はないがこれは自分にとって一番の理由だ。
怠い。
これが引きこもりの一歩手前なんじゃないか、とは思いつつもやっぱり隊舎から出るのが怠いため、しぶしぶと数時間ぶりに書類と向き合うことにした。
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