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□two
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私の斬魄刀の腐れ般若は名前の通り、結構えぐい能力を持つ斬魄刀である。
また人の考えてること、思っていることを勝手に私に伝えてくる、という自分勝手な刀だ。
だがそんな腐れ般若とは結構気が合う方で。
浅打ちとして刀を渡されたその日の夜に向こうから話を急にしてきた。
元々は妖の類であって、他の斬魄刀とはちょっと違うらしい。そんな刀が何故普通に渡されたのかというと。

手違いらしい。

そのとき私は「おい、」と突っ込んだ。

なんでも零番隊のある一人が浅打ちを作っているのだが、昔のある日、虚の討伐隊である隊士が実力不足で死んでいた近くにその隊士のものと別に一本の刀、腐れ般若が落ちてあったらしい。
死んだ隊士の刀は、まだ斬魄刀として我を持っていなければその零番隊の人に返るらしく。
亡くなった隊士の刀と腐れ般若はその人のところへ渡された。
渡されたその時、零番隊のその人は腐れ般若の持つ他の斬魄刀との違いに微かだが気付いた。
そのときは作り上げた浅打ちとは別の場所に置いてた。
……のだが、何十年何百年も経って。
忘れ去られた腐れ般若は私らの中央霊術院生の代の浅打ちの受け渡し時、普通の浅打ちと混じって渡され、私のところへ来た。

何故私なのか、とある意味初夜のそのときに聞いた事がある。

「ただ、あの場にいた人間で貴様が最たる強者であると思うた所以」

全くもって嬉しい限りである。
(物凄くめんどくさいと感じたがすぐその場でそんな思考がバレて説教を喰らった)



さらに言うと、具象化した腐れ般若はまんまの般若の面である。面だけである。
体はどうしたのか、と問いたことがある。
そしたら、「体はあるが不定。定まったものは無し。我が思うものが体である。」と言った。
簡単に言うと自在、という感じなのか。きっとそんな感じだろう。



そうだな、腐れ般若は私にとって信頼のできる相棒であり唯一無二であり、意外とお節介である。






「藍染という男、死んだと報いを聞いたが嘘であろう。生気を感じる。」

ほら、また頼んでもない情報を何処からか得てるし、言ってくるし。

「……え、てかマジで?」

自分だって報告でしか聞いてないから霊圧を探ろうとは思わなかった。
あぁ、死んだの。殉職か、ご愁傷さまです。
程度にしか思わなかったから。冷たいとかどうとか知らない。あまり面識もないからそう思っても仕方ないのではないか。
前に一度、斬魄刀の能力を見せたいとか言って人を集めたが私は全く興味がなかったので浮竹隊長に面倒だと伝えて行かなかった。
結局あれは何だったのだろう、自慢か?

「場所は……四十六室。藍染という男、多数の人間を殺めたな。」

あぁ、こんな展開の映画を生前に一度見たことがある。
一番最初に死んだと思った男が実は生きていて、実は裏で糸を引いていた黒幕。全てはそいつの手のひらの上。

「あー……」

そう考えたら急に「尸魂界」と書いて「ソウルソサエティ」と読むこの世界が映画か漫画か何かに思えてきた。
ただでさえ、霊圧だとか斬魄刀だとか生前全く耳にしたことがないものが当たり前でそれが普通にまかり通る此処。

改めて考えると凄い世界だ。厄介な世界だ。



「こんな世界で"裏で手をひく"何てこと……確かに自分だってやってみたいとは思うね」

元故人・藍染隊長はさぞかし愉快だろうに。




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