dream


□What am I gonna do? (2)
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【沙織side】



声をかけてきたのは誉くんだった。


チー「………誉くん」


誉「事情は知らんが場所をわきまえろ。
お前らが泣こうが怒ろうが勝手だが、ここで騒がれてると迷惑極まりない」


チー「……なっ!」


チーの言葉を私が遮る。

沙織「ちょっと誉くん!
そんな言い方ひどいよ!
たしかに場所を考えてなかったのは悪いけど、私たちにも事情が………」


誉くん「男子校の正門前で鼻水垂らして泣いてる事情か?
どうせお前らのことだ。
くだらない恋愛沙汰だろう?」

誉くんが意地悪く笑った。


沙織「鼻水なんて垂らしてません!」


誉「くだらない恋愛沙汰は当たりだろ」


沙織「くだらなくないもん!」


チー「ふたりとも!やめて!」

チーが間に入る。


沙織「あっ……!
ごめんね、チー……」


(微妙な空気になっちゃった……。

そうだ、誉くんなら何か知ってるかも!)


沙織「ねぇ、誉くん。
あの3階の窓のところにいる、新堂先生と一緒にいる女の子。
誰だか知ってる?」


誉くんが窓の方を見る。


誉「………………………ああ。
新堂と親しくしてるみたいだな。
オレは詳しくは知らないが」

誉くんが不敵な笑みを浮かべる。


誉「オレより完治にでも聞け。

…………じゃあな」


誉くんはそう言って帰って行った。



チー「誉くん…相変わらずだね」


沙織「うん……
でも久しぶり会ってすごく素直になってたら、それはそれで嫌だな……」


チー「ふふっ。そうかも」


沙織「なんだかんだで結構優しいところもあるよね。
誉くんが声掛けてくれて、最初はぶっきらぼうな言い方にムッとしたけど。
何かパニックになってた気持ちが少し落ち着いた気がするし」


チー「そうだね。
私もパニックになってた。
誉くんが来なかったら、沙織連れて教室に乗り込んでたかも」


沙織「アハハ!
いつも冷静なチーが珍しい!
でも私も、ナカムーの気持ち考えたらいてもたってもいられなくて……」


ふたりで3階の窓を見上げる。


沙織「誉くんが『完治にでも聞け』って言うってことは、きっと完治くんは何か知ってるんだよ。
私、さっそく完治くんに電話してみるね!」

チー「うん!
健人くんも完治くんと仲良いし、何か知ってるかも。
私は健人くんに連絡取ってみるね」

沙織「うん!」

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