06/05の日記
21:38
王立魔法学園 風紀委員長×生徒会長
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世界一の盾
世界一の矛
合わせればそれは矛盾を生み出す。
【きっと世界はそうやって廻ってる】
この世界には魔法が存在する。
その強弱は努力より、先天的にもたらされる才能による。
「この間Aランクの魔物が学園内に入り込んだらしいよ」
「でも会長様がすかさず対処してくださったんだって!」
「被害ゼロ。さすが会長様!そこに痺れる憧れる!!」
王立魔法学園に在籍する生徒は、個々の能力によって入学を決められる。
よって、能力、すなわち魔力の強弱で役割・立ち位置が決められ、学園の中では役職持ちと一般生徒のどちらかに分けられる。
その役職の中でもトップなのが生徒会執行部、ついで風紀取締委員会である。
さらにその内の至高の存在と言われている地位が、生徒会長、ついで風紀委員長だ。
――この学園は、一国と言っても過言ではない。
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「この間の事がもう噂になっているのは知ってるか?」
「これだけの人が居れば仕方がないだろう」
制服を軽く着崩した男が隠しもせずに楽しげに笑う。
それに返したのは冷静な声。
「はっ、面白味のねぇ奴だな。――青峰風紀委員長」
「お前は楽しそうだな。――白木院生徒会長」
煌びやかに整えられた一室で、男2人が睨み合っていた。
1人は黒光りする椅子に座り、片肘をついて相手を楽しげに見ている。
もう1人はその様子を、立っているために高い位置で見返していた。
「今回俺様は何もしていないからなぁ。これでも優秀な男だと感心しているんだぞ?」
「どうだろうな。俺からは獲物がとられていじけている様にしか見えないが?」
互いに不機嫌を隠しもしないこの2人は、この学園の要であり双璧、生徒達からの憧れの的。
そして誰がどう見ても、犬猿の仲、なのである。
「あの程度の魔物相手に俺様がいじけるなんざ、ありえねぇな」
「ほぉ」
「大体、そのAランクだか何だか知らんが、上位の魔物のくせにテメェに一発でやられてたじゃねぇか。俺様の相手にもならねぇよ」
まるでそんな物に興味はない、と言うかのように付いていた肘を上げて手首を横に振る。
それを同じ体勢で上から見ていた青峰は、目を細めた。
「おい、バ会長様」
「何だ、アホ風紀」
呼ばれて返した白木院はもう興味もなくなった様子で、手元にある書類へと視線を下ろした。
その様子に特に気を悪くした様子もない青峰は構わずに話を進める。
「何故あの場にいた」
「引っかかった、それだけだが」
「わざわざ王自らお出ましとは、雑魚もご満悦だろうな」
わかりやすい皮肉であるが、白木院は口端を少し上げて鼻で笑うだけで視線さえ上げはしなかった。
「まぁ、俺様を一目でも見れただけで満悦するのは仕方がないことだな」
それだけ言うと、そのまま仕事に集中する時にだけ掛ける眼鏡を取り出した。
こうなるともう何も受け付けないのは、無駄に長い付き合いで知ってしまっている青峰は溜息一つついて生徒会室を出た。
好戦的な王を持つと何かと大変である。
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