お話

□使徒の役目
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意識が浮上していく



朦朧とする頭の中で考えた



ぼやける視界に映るのは見知らぬ天井



豪華なシャンデリアだろうか



まるで人間界のよう…







「人間!」

「うわっびっくりした!」



勢いよく起き上がると

脇に座っていた少年が悲鳴を上げた



「君は…」

「やぁ、僕はアラジン

お姉さんは?」

「私はリアーナ」

「リアーナお姉さんだね!

宜しく」



差し出された手を遠慮気味に握ると

アラジンくんは上下に振った



「ところで、ここは?」

「シンドリア王国だよ

リアーナお姉さん

空から落ちてきたんだけど覚えてる?」



少し考えて首を振る



転送魔法が自分にかかってからの

記憶はなかった



「そっかぁ」

「でも、原因に心当たりはあるわ」

「そうなの?」



私は寿命じゃないことを願った



きっとここは人間界



「魔法界は人間界の裏にあると

聞いていたけどこんなに

明るいところなのね」



光が差し込む窓に目を向ける



「太陽を見たのも、光を見たのも初めて

いつも魔法でしか見たことなかったから」

「…リアーナお姉さん

何を言ってるんだい?」

「え?」

「人間界だとか、魔法界だとか…

そんなのは聞いたことがないよ」



彼が嘘を言ってるようには

どうしても見えなくて



私は異世界に

飛んでしまったのかも知れないと

他人事のように理解した




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