それでも僕は恋をする

□夏休み、コンビニで
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いつ頃だったかな。
自分が同性しか好きにならないことに気がついたのは。
僕は、物心がついた時には同性にしか興味がなくて、同性にしか恋ができない状態だったような気がする。

僕は平凡で在り来りな顔をしているけど、どちらかと言えばカッコイイと言うよりは可愛い系の顔をしている。
子供の頃は病弱で色白、おまけに痩せぎすだったこともあって、女の子たちにはその可愛い系の女顔を気持ち悪がられ、同性の男の子たちにはオカマだとかオトコオンナ、他にもおネエと呼ばれたりしていた。
僕の名前が夏海(なつみ)だと言うこともあり、この頃の僕は軽いいじめに遭っていたのだ。

今思えばその頃の僕は自分で言うとあれだけど、嫉妬されるぐらいに可愛かったんだと思う。
子供の頃の僕の写真を見ると冗談抜きで女の子のようだ。
大きな目はぱっちり二重だし、長い睫毛はくるんとカールしてるし。
柔らかなくせ毛は我ながら天使のようで、子役のモデルの話が出ていたくらいだった。

それがだんだん大きくなっていくうちに健康になったのもあって、少し太った(と言っても平均的な体型になっただけなんだけど)僕はいつの間にか奥二重になり、気付けば平凡な顔になっていた。

まあ、さ。
それがどうしたって話だけど。

ともかく僕は中学生になる頃には男子にも女子にもいじられなくなって、気付けば教室の隅で読書をしているような目立たない地味な生徒になってしまっていた。
読書のし過ぎで目が悪くなり、眼鏡をかけ始めてそれに拍車がかかったのだ。

お陰で今では、平凡でどこにでもいるような少年Aだ。
その反動なのか気付けば僕は、超が付くぐらいの面食いになってしまっていた。

「いらっしゃいませー」

僕の元田舎で、今は実家になった町唯一のコンビニで働き出してもう三日になる。
コンビニでのアルバイト自体は4月からやっているから、働く店が変わっただけで仕事には慣れたものだ。

しかもこの町のコンビニは個人経営のお店で、基本的には年中無休で24時間営業のお店なんだけど、オーナーの気まぐれで休みになったりする。
品揃えやお店の規模で言ってもチェーン店にはとても及ばない小さな店で、その分、仕事はとても楽だった。


 

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