リヴァロさんと愉快なユニットたち
□雨・悲しみ・情欲
1ページ/11ページ
「……雨……?」
ふと見上げた空は陰り珍しく乾季のこの時期に雨が降っていた。
珍しいこともあるものだと思いながらブラスターブレードは郊外を歩く。
雨は……嫌いじゃない、自分が一人でいることを自覚できる。
ひとりは好きだ、誰からも指図されず誰からも視線を向けられない。
俺にとってはこんなに嬉しいことは無い。
それを友人に言うと、奴は必ず悲しい顔をする。
なぜそんな顔をするのかと聞けば、一人はさみしいものじゃないか……というのだ。
寂しいなんて一度も思ったことはない……と言いたかったが確かに幼い頃は物悲しく感じるところもあった。
しかしそれも昔の話。
今はこうやって雨に濡れるのが好きになっていた。
「今日の雨は……冷たいな」
乾季で気温の上がっているこの時期の雨にしては随分と冷たい雨に疑問を感じたが、そういう事もあるのだろうと納得させてしまっていた。
そうやってポツポツと落ちてくる雨を体で受けていると、暫らくして雨あしが強くなってくる……。
「流石にこのままは風邪引くか……?」
ずぶ濡れになった体は寒さ故か、意思とは関係なく震え始めていた。
早めに温まらないと風邪をひくかもしれない。
しかし、そんな自身の考えとは裏腹に体はその場にい続けた。